日本とロシアは20日に東京で、外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を行った。双方は朝鮮の核兵器・ミサイル問題やテロ対策などの協力を強化することで合意したが、領土問題については実質的な進展がなかった。ロシア側はさらに、米国がアジア太平洋にミサイル迎撃システムを配備していることに懸念を表した。日ロ両国が地域安全や領土などの重要問題で大きな溝を残していることから、政治的相互信頼の醸成は容易ではないと分析されている。
日本の岸田文雄外相、稲田朋美防衛相は20日、来日したロシアのラブロフ外相、ショイグ国防相と会談した。双方は朝鮮に対して、国連安保理決議を遵守し、核兵器・ミサイル計画を放棄するよう促すことを確認した。日ロはさらに、防衛交流の推進と合同演習の実施で合意した。双方は、日本の安倍晋三首相が4月下旬、ロシアを訪問することを確認した。
一定の共通認識を形成はしたが、一部の問題では批判の応酬を避けられなかった。南クリル諸島(日本名・北方四島)の領有権問題は、ロ日関係の発展と両国の平和条約締結の主な障害物となっている。双方の領有権をめぐる溝は埋めがたい。稲田防衛相は会談で、ロシアが係争中の島嶼にミサイルを配備したことに抗議したが、ロシア側はこれを「完全に防衛目的」とした。ラブロフ外相は記者会見で、米国がアジア太平洋にミサイル迎撃システムを配備していることに懸念を表し、「米国のミサイル迎撃システムは、朝鮮の脅威の程度に合致しない」と述べた。
ロ日両国の「2プラス2」は、2013年に初めて実施されたが、2014年のウクライナ危機で中断されていた。昨年12月のロ日首脳会談で再開が決定。ロシアは西側からの孤立の突破口を見いだそうとしており、日本は領土問題の解決を目指している。
ロシアメディアは今回の協議を高く評価していない。コメルサント紙は20日「日本側は今回の会談に期待し、日程表で朝鮮の核問題や南クリル諸島問題などを列挙していた。しかし日本のミサイル迎撃システムに関する問題で会談の雰囲気を損ねた。日本は自国のシステムの他に、本土に米国のシステムを配備しようとしており、ロシアから懸念された」と伝えた。
京都新聞によると、ショイグ国防相は協議中、米国が日本にミサイル迎撃システムを配備することで太平洋地域のバランスを損ねたと批判した。ラブロフ外相はさらに、日本の地域安全保障における立場を真っ向から批判した。
安倍首相は昨年のロシア訪問で、「新しいアプローチ」を打ち出し、経済協力による領土問題の解決を目指した。岸田外相はラブロフ外相との協議で、北方四島の共同経済活動を実現するため優先プロジェクトを選択し、元島民の墓参のビザ発給手続き簡略化を推進することなどで合意した。しかし18日の外務次官級協議では、日ロ双方の共同経済活動における法律の適用に食い違いが見られた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年3月23日