安倍氏の欧州歴訪、「欧州のテコ」で中米を動かせるか

安倍氏の欧州歴訪、「欧州のテコ」で中米を動かせるか。

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発信時間: 2017-03-23 14:51:51 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

安倍首相は19-22日に欧州4カ国を歴訪した。これは事前に決まっていた外交活動だ。

しかし右翼教育機関・森友学園の土地取得に便宜を図った疑いにより、欧州歴訪は日本メディアから「逃げているようだ」と皮肉られた。しかしこれは安倍首相の「地球儀を俯瞰する外交」への熱意を弱めていない。

ドイツ、フランス、ベルギー、イタリアの順で訪問。安倍首相は欧州で、欧州との自由貿易推進、日・EU間の経済連携協定(EPA)の締結促進、日・EU間の安保協力の強化などをアピールした。これらの議題には何の問題もないようだが、その欧州歴訪を細かく見ていくと、日本の外交の最も典型的な、機会主義的な特徴が浮かび上がってくる。安倍首相はドイツとフランスで自由貿易を強調したが、これはメルケル政権とオランド政権に友好的な姿勢を見せつけるためだ。先ほどドイツで閉幕したG20財務相・中央銀行総裁会議で、各国が米国に「屈服」を示したが、主催国と各加盟国はほぼ「19対1」の構造を形成した。特にドイツは世界自由貿易の受益者で、メルケル政権はトランプ政権の脱グローバル化に同意していない。先ほど終了したメルケル首相の訪米で、トランプ大統領は会談した際に握手を拒否するという無礼な振る舞いをし、さらにツイッターでドイツがNATOの金を米国から借りていると批判した。安倍首相が自由貿易を主張したのは、欧州の親政府派に友好的な姿勢を示すためだ。トランプ大統領と過去2回会談した際のへりくだった態度を思い出すと、安倍首相の外交からは米国と欧州のどちらにもいい顔をするような印象を受ける。

国際関係はもとより利益の関係だ。日本の国益のため、安倍首相が米国と欧州の間で別の顔をするのは、なにも悪いことではない。しかし安倍首相の狡猾な立ち回りが、効果を発揮するとは限らない。

トランプ時代の米日関係を例としよう。日米首脳の「ゴルフ外交」、マティス国防長官の2月の訪日、ティラーソン国務長官の先ほどの東アジア3カ国歴訪で、安倍首相はトランプ政権から「米日同盟は不変」という慰めを得た。安倍政権の卑屈な外交により、トランプ大統領は安保経費の分担について言及しなくなった。しかしトランプ大統領の日本への態度は、良いとは言えない。まず経済・貿易面で、米国は日本を為替操作国としている。もちろんドイツと中国もトランプ大統領の「ブラックリスト」にのっており、しかも中国は為替操作国の「チャンピオン」とみなされている。これは友好的な同盟国であっても競争相手であっても、トランプ大統領が同一視し、「米国ファースト」を最優先することを意味している。次に、オバマ時代の米日同盟の親密ぶりと比べ、現在の米日関係は赤裸々な利益の関係でしかない。

米国は信頼できず、中国は恐ろしく、周辺諸国は節操がなく、ロシアは煮ても焼いても食えない。安倍政権はアジア太平洋の地政学情勢の変化に敏感で、日本の需要に合致する新しい友人を見つけようとしている。欧州は安倍首相の新たなターゲットになった。日本はそもそも西側世界の一員であり、ドイツやフランスなどは西側世界の主軸をなす主要7カ国(G7)のメンバーでもある。東洋が駄目ならば西洋へ、米国が頼りにならなければ欧州から慰めを得る。安倍首相の需要は、欧州の現実と合致した。欧州は戦後最も深刻なポピュリズムに見舞われている。EUとユーロ圏はかつてない危機を迎えている。欧州の混乱を引き起こしたのは、英国のEU離脱による直接的な影響と、トランプ大統領の勝利による影響だ。

この状況下、日・EU双方には微妙な利益の一致がある。しかし欧州の親政府派、特にドイツのメルケル政権は、日本という西側世界の中堅の力を利用し、米国のトランプ主義に共に対抗しようとしている。しかし日本が欧州に接近するのは、米国以外の価値観が一致する「予備タイヤ」を見つけ出すためだ。日本が最も必要としているのは、欧州を中国対抗の陣営に巻き込むことだ。特に南中国海で、日欧で中国を共にけん制する新たな戦略パワーを形成することだ。

しかし日本と欧州の目的が実現されることはない。欧州が大陸と大洋を跨ぎ、日本に協力し西太平洋で中国を包囲することはない。もちろん欧州も日本が、反トランプ主義の確固たる同盟国になると期待できない。

安倍首相の欧州歴訪、「欧州のテコ」により、中米という両雄を動かすことはできない。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年3月23日

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