麗澤大学特任教授 三潴 正道
「中国人が教育熱心なのはよくわかったわ」
「誰も負け犬にはなりたくないからね」
「中国っていえば、すぐ李白とか杜甫を思い出すけど」
「日本でも大人気なんだね」
「唐詩、唐詩ってよく言うけど、なんで、唐なの?」
「いい質問だ。中国には詞もあるよ」
「?? 詩と詞は違うの?」
「宋詞って言って、詞が栄えたのは宋の時代」
「へーそうなんだ!」
「それって洒落かい?」
「お粗末様。で?」
「中国は時代によって異なる分野の文学が栄えた」
「例えば?」
「漢の賦、六朝の志怪小説、唐の伝奇とか……」
「あら、唐は小説じゃなかったの?」
「中国の文学には雅と俗がある」
「なんだか急に学問的になっちゃったわね」
「道を説く文章や韻律を重んじる詩なんかは“雅”なんだ」
「じゃあ、俗は?」
「小説、戯曲類がその代表」
「中国にはそんな前から小説があったの?『源氏物語』より前?」
「ハハ、小説って字をよく見てごらんよ」
「見たわよ。小さな説」
「つまり、とるに足らない話ってとこかな」
「えっ。『源氏物語』、とるに足らない話じゃないわよ」
「そういうことじゃないんだ。二十四史って知ってるかい?」
「待ってました!司馬遷の『史記』に始まる中国の正史でしょ」
「よく知ってるね」
「実は日本史で習ったの」
「日本史に二十四史がでてくるの?」
「そうよ。卑弥呼が登場するのが“魏志倭人伝”、倭の五王が出てくるの宋書倭国伝」
「すごい!そういう史書を書く司馬遷みたいな人を史官と言うんだ」
「学者たちね」
「その学者たちの何人かがとるに足らない話を書いたんだって。」
「何かわけがありそうね。次回で話してね」
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年3月30日