ナチス・ドイツの指導者ヒトラーの自伝『我が闘争』は、ナチス思想を宣伝するものであることから、ドイツでは70年にわたって出版を禁じられた。だが中国のラジオ局「中国之声」のニュース番組「新聞縦横」の報道によると、このような書物であるにもかかわらず、日本の教材はその一部の内容を引用し、学校で用いることを許しているという。
「中国之声」の特約日本ウォッチャーの蒋豊は、「日本の一部の教材に伝記『我が闘争』が盛り込まれているということについて、まず強調しておかなければならないのは、これは個別の例であり、広範に見られる現象ではないということだ。だがさらに重要なのは、日本の一部の出版社は、安倍晋三の目の色をうかがって行動しており、(こうした内容を)教材にあえて盛り込むことは、日本の安倍政権に調子を合わせ、右翼思潮に調子を合わせていることの表れだということだ」と指摘する。
日本の教材にヒトラーの自伝の一部の内容が引用されていたことについては、民進党議員が政府に疑問を呈した。
日本政府は14日の閣議で、民進党議員の質問に対し、政府の態度を表明し、ヒトラーの自伝『我が闘争』の一部の内容を教材として使用することはできるとの見解を示した。日本政府は、「同書の一部を引用した教材を使用して、執筆当時の歴史的な背景を考察させる授業が行われている例がある」としている。
日本問題専門家で外交学院国際関係研究所の周永生教授は18日、記者の取材に対し、日本政府の説明は確かにわからないでもないが、その背後には公にできない目的が隠れていると指摘した。「ドイツは昨年、『我が闘争』の出版を解禁し、約8万冊余りを売り上げた。こうした状況下で、日本は恐れるどころか、ドイツがこのような書籍を公的に出版できるくらいだから、自分たちも行動に出ていいはずだと考えた。また日本の現政権は、右翼勢力によって主導されている。この勢力は、対外侵略戦争を起こしたことや、アジア諸国に戦争の災難と苦難をもたらしたことを認めようとせず、右翼勢力のために各方面から突破と弁護を試みている。ヒトラー『我が闘争』の一部の内容を教材に用いたのもこうした考慮があるとかんがえられる」
周永生教授によると、日本の中学教材での右翼教材の採択率は近年、過去の4%足らずから6%に高まり、さらに拡大傾向にある。安倍政権のさまざまな挙動からは、同政権が全面的に右傾化しようとしていることがうかがえる。「日本は最近、中学のカリキュラムに銃剣道を入れた。今度は教育敕語を中学カリキュラムに応用するつもりだ。安倍政権はこうした面から、右方向への全面的な転換を進めようとしている。右傾化の目標は、右翼勢力が国内の各方面で主導的な地位にあった戦前の体制をある程度復活させることにある」
『我が闘争』の内容を教材に引用することを認める日本政府の態度には、日本国内でも大きな物議と疑いの声を呼んでいる。日本のSNSサイトでは、「政府は本当に狂っている」と批判が相次いだ。ある人は、「世界の敵、人類の敵だと世界に発信しているのがわかってるのか。信じられない。許せない」とコメントしている。
中国外交部の陸慷・報道官は18日の定例記者会見でこれについて、「ファシズムと軍国主義思想は、第2次世界大戦という災いを引き起こした原因であり、徹底的に清算・根絶しなければならない。このような根本的な是非にかかわる歴史問題においては、少しの曖昧さやあやふやさも許されず、日本は、正確な歴史観で若い世代を教育するべきだ」と語った。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年4月20日