米国は日本側の感情に配慮せずTPP離脱を発表した。これにより日本が3年以上も取り組んできた多国間自由貿易枠組みが水の泡となった。日本は米国に追随し中国包囲を続けてきたが、中米は今や全面的な経済対話、外交・安全対話の枠組みを構築した。アジア太平洋リバランス戦略が表舞台から姿を消し、中米は一部の重要問題でも協力の姿勢を示している。これらの変化により、安倍内閣はこの駆け引きで収拾がつかなくなっている。
まず、日本の大国外交戦略が苦境に陥った。日本は日米同盟を防衛戦略の一部とし、これにより米国に追随するのが慣例化し、外交の自主性を失った。安倍内閣はさらに「価値観外交」「積極的平和主義」を主な外交理念とし、米国のアジア太平洋戦略への協力を基礎とする外交政策により、日本を米国の戦車に括り付けた。日本は海洋・領土問題で自己中心的になり、安心感を失っている。そこでやむなく米国に、安保条約の関連条項の履行の約束を再三要求している。また米ロ関係が予想通りに改善しておらず、日ロ関係が停滞している。安倍首相の訪ロも目処が立っていない。
日本がすでに中米ロなどの大国の駆け引きにおいて脇役になっており、自主性のない対米追随政策が限界を露呈していることは、事実によって証明されている。
次に、日本の対外経済戦略が課題に直面している。日本は資源の欠乏により、貿易立国の方針を貫いている。資源を輸入し製品を輸出する戦略を推進しており、グローバル化に積極的に参与する必要がある。そのためオバマ政権が推進するTPPに協力した。しかしトランプ大統領は就任後、保護貿易主義を掲げている。TPP離脱を宣言し、さらに日本の為替操作を批判し、日米二国間の貿易交渉を求めている。日本の麻生太郎財相は、日米二国間の協議により、日米関係を摩擦から協力に向かわせる重要なページを開けると発言した。しかし日本は実際には渡りに船とばかりに、日米主導のアジア太平洋自由貿易枠組みの構築を目指している。何はともあれ、グローバル化を主張する安倍首相と、保護貿易主義を主張するトランプ大統領の間の溝は埋めがたい。
それから、日本の周辺外交政策が試練を迎えている。日本は長期的な周辺外交政策を考えたことがない。安倍首相は国内の右傾保守主義者に操られており、日本と隣国の関係が膠着状態に陥っている。日本は韓国との関係改善を目指しているが、歴史問題、特に慰安婦問題で韓国の国民感情を何度も刺激している。日本は中国と戦略的互恵関係を構築しようとしているが、歴史を直視できず、特に釣魚島問題では増長し、人為的に安全問題をこしらえている。これにより日本は安全面で米国への依存を強め、戦略的に大きな損失を被っている。また近年の中日関係の対立により、両国の経済・貿易協力が低迷を続けている。
理性的な日本の関係者が指摘するように、日本にとって最高の選択肢とは、日米同盟を強化すると同時に中国との関係を改善し、バランス外交に戻ることだ。現在の状況を見据え、日本政府が方針を変更できるかは不明だ。右傾保守主義者に操られ続ければ、日本は短期間内に苦境を脱することができない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年4月26日