麗澤大学特任教授 三潴 正道
「日本にはずいぶん中国のお話が入ってきているのね」
「うん、僕も日本の話を見てびっくりしたことがある」
「どんな話?」
「君、中国のテレビで“包青天”というの、見たことない?」
「“包青天”?なんのこと?」
「知らなかったの!?それでは中国通にはなれないよ」
「あら、言うじゃない。どうして?」
「だって、日本のテレビでやってる大岡裁き、知らなくていいかい?」
「日本人で大岡越前守を知らなければ、無知だって言われるわ」
「同じことだよ!中国人で“包青天”のこと知らなければ、やっぱり無知さ」
「っていうことはその人もお奉行様?」
「その通り。名裁判官さ」
「でも、青天さん、なんてずいぶんしゃれた名前の裁判官ね」
「これはね、綽名。本当は“包拯”(ほうじょう)って言うんだ」
「あっ、そうなんだ」
「役職名から“包待制“ということもあるよ」
「で、なんで“青天”て呼ばれたの?」
「とても公平な裁判をしたんで、青空のようだ、ってわけさ」
「じゃあ、ずいぶん民衆に慕われたでしょうね!」
「その通りさ。封建時代は権力者の横暴が激しかったからね」
「それで大岡様と通じるところがあるのね」
「そう、その大岡裁きの中に“包青天”と同じ話があるんだ」
「本当?」
「本当さ。<縛られ地蔵>って話が合った」
「知ってるわ。葛飾区に住んでいたころ、近くに縛られ地蔵があったの覚えてる」
「あれね、包公話に全く同じのがあるんだ」
「そっちが真似したんじゃないの?」
「あのね、包公は宋の人、この話は鎌倉時代ごろにもう戯曲になってるよ」
「ウーン、時代が違うわよね---」
「二人の母親が子供を取り合って引っ張り合いする話もあった」
「あれも包公の話なの?」
「そうさ。といっても、もともとはソロモン王の裁きだったんだって」
「フー、上には上がいるわね」
「そうだね。こういうのもっと調べていったら面白いかも」
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年4月25日