生産スタートから32年の歴史があるキヤノンの珠海工場は、近く生産を停止する。同工場はキヤノンの中国における唯一のコンパクトデジタルカメラの生産工場だ。キヤノンは珠海工場閉鎖後の生産能力を日本国内に移す予定だが、しばらくは同工場の一部の部品製造ラインを残すとしている。一方で、大連、中山、深セン、蘇州にあるレーザープリンターとコピー機の工場はこれまで通り生産を続けるという。
珠海工場が閉鎖することになった背景には、世界的なデジタルカメラ、とりわけ小型デジカメの縮小がある。
スマホの打撃を受けて、デジカメの出荷量が急速に減少している。日本のカメラ映像機器工業会(CIPA)がまとめた統計によれば、2020年の世界デジカメ出荷量は888万6千台にとどまり、00年の1034万2千台よりも少なかった。
この現象はカメラ大手キヤノンの決算にも表れている。17年からキヤノンのイメージングビジネスユニットの売上高が年々減少している。カメラ、レンズ、イメージングデバイスを中核としたイメージング製品売上高は17年が1兆991億3千万円、18年が9704億4千万円、19年が8074億円だった。20年はさらに5413億1千万円に減少した。
今や、スマホの打撃を受けて、基本的な撮影ニーズはスマホがあればまかなえてしまう。より専門的な撮影シーンについては、デジカメを必要とする一定数のユーザーがいることに変わりはなく、技術だけが革命的な変化を遂げている。
キヤノン中国法人の関係者は、「今、キヤノンのカメラ開発では一眼レフカメラに多くの資金を投入し、RFシステムの拡大を目指して努力し、カメラ本体だけでなく、レンズ群にも力を入れている。しかし中国市場には一眼レフのユーザーもミラーレスカメラのユーザーもいて、キヤノンにとってはどちらも重要であり、この2種類の製品の販売を同じように重視する。今後も引き続き中国のユーザーの声に耳を傾けて、撮影文化の普及に力を貢献していきたい」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年1月22日