蔡昉副院長は、「中国の人口ボーナスの消失は経済の潜在成長率を下げることになるため、需要側の刺激だけでは長期的な経済成長は保証されなくなっている。今後は、人口ボーナスではなく構造改革を通じた“改革ボーナス”に転じるべきだ」と話す。具体的な改革措置について同氏は、「戸籍制度改革の実施は、労働力の供給増加につながり、労働コストの上振れ圧力を緩和させると共に、消費者の拡大が望める。“三去・一降・一補”の実施は、全体的な生産率を上げ、投資収益率を向上させる。教育と人材育成改革の実施は、人的資本の強化につながると同時に、格差の固定化の防止になる」と述べる。
同シンポジウムは、「日本の供給サイド構造改革の総合分析」、「日本の供給サイド改革の経験と教訓」、「日本の供給サイド改革の経験と示唆」という3大テーマをめぐって議論された。中日両国識者は、日本のバブル経済崩壊後の不動産証券化や、日本の産業政策体制、日本の不良債権処理問題、日本企業の三大(労働力、設備、債務)過剰問題、日本の技術革新、医療保険制度改革、農業の供給サイド構造改革などについて、議論と交流を行った。
中国社会科学院日本研究所の所長補佐である張季風教授は、「今回のシンポジウムは“日本の供給サイド構造改革”の経験と教訓について検討することを通じ、中国の供給サイド構造改革を深く進めていく際の有益な参考を提供するものとなった。そして両国の産業協力の新たな契機につながるものとなった」と述べる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年5月4日