改正自衛隊法が26日、参院本会議で可決された。自衛隊はこれにより、他国に低価格もしくは無償で装備品を譲渡できるようになった。共同通信によると、日本政府は南中国海問題で対立する中国をけん制するため、主にASEAN諸国への譲渡を検討している。安倍内閣は一連の安保法により、自衛隊の規制を緩和していた。安倍首相は最近、2020年までに改憲という目標を実現すると表明した。日本側の不穏な動きに要警戒だ。
共同通信の26日の報道によると、財政法には「合理的な価格を設定しなければ、譲渡もしくは貸与してはならない」という国有財産の規定がある。朝日新聞によると、海上自衛隊は昨年フィリピンに練習機を供与すると提案したが、フィリピン側は無償譲渡を要請してきた。そこで日本政府は現行の自衛隊法の、他国に装備品を無償譲渡してはならないという規定を改正することを決定した。フィリピンは改正後初の受益者になる見通しだ。日本はまずフィリピン海軍に海上自衛隊の練習機TC-90を無償譲渡し、今後さらに東南アジア諸国に対して、捜索救助など各種訓練に用いる練習機と船舶を無償譲渡する計画を立てている。
時事通信は26日、中国が南中国海の「軍事化」を推進するなか、日本のこの措置にはフィリピンなどの東南アジア諸国との連携を強化し、防衛面の協力を強化する狙いがあると論じた。防衛省によると、東南アジアの一部の発展途上国は財政問題などにより、他国から防衛装備品を購入できない。そのため一部の国は、自衛隊の退役装備品などを有効活用することを要請している。NHKによると、日本政府は中国の海洋活動の拡大を受け、装備品の支援によりこれらの国の防衛能力を強化しようとしている。
中国社会科学院日本研究所の高洪所長は26日、「日本側は自国の武装力、武装力と関連する軍用・民間用装備品の生産を移転しようとしている。中古品であっても、多くの東南アジア諸国にとっては先進的で、欲しがるだろう。その一方で日本は中古装備品を有効なカードとして用いる。双方の合意のもと、譲渡される武器が決まる。中国と対抗する東南アジア諸国が必要とすれば、日本は無償譲渡もできる」と話した。
中比南中国海問題二国間協議枠組み第1回会議が先週、中国で開催された。これは両国が南中国海問題を、再び二国間協議の軌道に戻したことを意味する。その前日、中国とASEAN10カ国は「南中国海行為準則」枠組みを可決し、次の段階の協議に向け「堅固な基礎」を築いた。南中国海問題が全体的に好転するなか、日本が東南アジア諸国に装備品を提供することで、再び南中国海で波を立てることができるだろうか。高氏は環球時報の記者に対して「米駆逐艦デューイが許可なくわが美済礁に接近するなど、日本は刺激に利用できるすべての機会をつかむ」と述べた。
今回の改正自衛隊法の可決は、他国への装備品譲渡という単純な内容ではない。26日付日本経済新聞によると、今回の改正により日本の軍事力の配置に大きな変化が生じる。自衛隊はこれに基づき、全国5方面隊などを束ねる統一司令部「陸上総隊」を創設し、部隊の迅速な運用を強化できる。規模は約180人で、来年3月に自衛隊朝霞駐屯地に配置される見通しだ。また南西方面の防空体制を強化するため、航空自衛隊は「南西航空混成団」を「南西航空方面隊」に昇格する。
安倍政権は自衛隊の改革に取り組み続けている。安倍首相は先ほど、自衛隊の存在を憲法で明文化させるため、2020年までに改憲を実現すると突如表明した。安倍首相はさらに、自衛隊を憲法9条に書き込む改正案を、年内にまとめると表明した。NHKは日本国憲法専門家組織「立憲民主主義会」の専門家の発言を引用し、安倍首相の主張通りにすれば軍拡競争を推進し、国際情勢を悪化させる恐れがあると報じた。
高氏は環球時報の記者に対して「任期内の改憲は、安倍首相の政治の理想、最高の目標だ。安倍首相はやや調子を落とし、平和憲法9条を改正すると直接提案するのではなく、加憲により内容もしくは解釈の余地を増やそうとしている。しかし最終的にはやはり、日本に軍隊を保有させ、平和憲法を形骸化させようとしている。安倍首相は現在、最高基準から一歩後退しつつ、支持を集めようと計算している。中韓などの国は、特に日本の動きに注目しなければならない」と指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年5月27日