犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案は23日の衆院本会議で、自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決され、衆院を通過したと伝えた。連立与党は衆院法務委員会に続き、民進党などの野党の反対を押し切り強行採決した。今国会中の成立を期し、6月18日までの会期を延長することも検討する。野党4党は「内心の自由が脅かされ権力が肥大化する」(蓮舫民進党代表)懸念があるとして、廃案を目指し徹底抗戦する。共同通信が23日に伝えた。
共同通信によると、改正案は対象となる犯罪を277とし、テロ集団や暴力団など「組織的犯罪集団」を適用対象とする。2人以上で犯行を計画した人物のうち、1人でも現場で「準備行為」を行えば全員が処罰される。犯罪後の処罰を原則とする現行の刑法に変化が生じる。
日本政府は国連の「国際組織犯罪防止条約」の早期締結の必要性を、法改正の根拠としている。2020年東京五輪・パラリンピックのテロ対策にとって、改正は不可欠と強調している。安倍首相は質問への回答で「一般人は対象外」と重ねて強調し、理解を求めている。
しかし野党は捜査機関による恣意的な捜査の懸念は払拭されていないと指摘し、さらに日本が「盗聴・検挙・密告が横行する監視社会」になると批判している。野党は参院審議で、改正案の問題点を指摘する構えだ。
衆院で共謀罪法案が強行採決されたことで、市民の大規模な抗議活動が起きており、国際人権組織からも反対されている。NHKによると、共謀罪の構成要件、「テロ等準備罪」新設について、人権組織のメンバーと弁護士が23日に記者会見を開いた。国連特別報告者が懸念を表するため日本政府に宛てた書簡などを提示し、法案制定の見直しを呼びかけた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年5月26日