ある日本の宅配業者の配達員が、仕事への不満を荷物にぶつける動画が先ほど物議を醸した。これにより日本の宅配業界の問題が注目されるようになった。同社の配達員が荷物に当たったことで、ヤマト運輸などの大手が基本運賃値上げによる従業員の賃上げを決定した。しかし日本の宅配業界の問題は、まだ根本的に解消されていない。
ヤマト運輸は日本で最も早く宅配サービスを提供した会社で、1919年創業。当初は主に百貨店などに輸送サービスを提供していた。1976年から個人向けの宅配事業を開始し、1982年に株式会社になった。その後はスキー宅急便(利用者の代わりに、スキー板や防寒着などの荷物をスキー場に送るサービス)により急成長した。1986年からは時間帯指定サービスを開始し、1988年にはクール宅急便、夜間配達、空港宅急便などのサービスを開始した。2008年には中国の上海や香港などに子会社を設立し、グローバル化を開始した。現在は宅配事業が分社化されている。
同社の長尾裕社長は先ほど、「当社は2019年で創業100周年を迎える。今後は新たなチャレンジを続け、物流ネットワークの革新を通じ、バリュー・ネットワーキング構想とプロジェクトGを推進する」と表明した。「バリュー・ネットワーキング構想」とは、ビッグデータ管理により在庫を減らし、サービスの付加価値を高める構想だ。「プロジェクトG」とは、日本の深刻な高齢化を受け、高齢者の買い物などの問題を解消することだ。政府や地方自治体と連携し、地域密着型の宅配サービスを作る。さらにより便利で開放的な宅配ボックス事業を拡大する。
ヤマト運輸は物流改革を提唱し、未来型の宅配サービスを試験的に展開しているが、厳しい課題に直面している。同社は先ほど、基本運賃値上げを発表した。これはまず、日本の労働力不足問題が深刻化し、増加を続ける宅配の需要を満たせなくなっているからだ。次に、ネット通販拡大により荷物取扱量が増加し人手が必要になっているが、ネット通販の安い商品を届けるための人件費が高くつくからだ。これによって、奇妙な現象が生じている。ネット通販の取扱量が増加したことで、宅配業者の収益がむしろ減少しているのだ。それからヤマト運輸はサービスの質を高めるため当日配送、無制限の再配達無料を行っていたが、配達員の業務量が激増するばかりで収益を増やせなかったからだ。そこで企業は運賃値上げに踏み切り、従業員の業務量と荷物取扱量を減らすことで、物流サービスの高い品質を確保することになった。だが消費者にとって値上げは受け入れがたく、本件が長期的に企業にどのような影響を及ぼすかは未知数だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年6月10日