フォックスコンに買収されてから1年後、シャープは8Kテレビを最も重要な戦略の一つとすることを宣言した。世界同時発売される8Kテレビは、中国回帰の重要な一歩とみなされている。
有機EL(OLED)や量子ドットなどの技術が流行するなか、8Kテレビの登場は市場から注目を集めた。
業界関係者は「フォックスコンは近年、産業チェーン川上の展開を加速しており、かつてのOEM大手から、多くの産業を一体化させる新しい商業帝国へと急変貌を遂げている」と指摘した。フォックスコンはブランド化発展が遅れていた。今回シャープの8K生態を通じ、OEMのイメージを払拭し、版図を急速に拡大しようとしている。
各社が8Kに注目
シャープは先ほど、世界初となる量産型8Kテレビを発売すると発表した。業界関係者は、これは8K技術が正式に一般市場に進出し、8K生態の実現が加速されることを意味するとした。
シャープは4年前に8Kテレビを展示していたが、正式な発売時期を明かしていなかった。シャープは昨年1月、80インチの8K対応テレビを、アジアの一部地域で販売すると発表した。希望小売価格は1万6000ドル。その後CES 2016で、LGとサムスンが98インチの8K超高画質テレビ製品を発表した。
産業経済コメンテーターの洪仕斌氏は「8K技術は4K技術より画像が鮮明で、テレビ機能の革新がある。家電市場ではさまざまなコンセプトが生まれており、各家電メーカーが進出しているが、実際に製品を発売している例は少ない」と述べた。
シャープは有機EL産業を非常に重視しているが、同社は世界主流テレビメーカーのうち、有機ELもしくは量子ドットを選択していない唯一のメーカーとなっている。
家電産業専門家の劉歩塵氏は「8Kは画質の問題であり、有機ELと量子ドットはディスプレイ技術だ。両者間には相似点と異なる点がある。相似点は、各社がより鮮明な画像を求めることだ。異なる点は、有機ELと量子ドットはいずれもプラットフォームであり、8Kをこのプラットフォームに搭載できる点だ。つまり有機ELで8Kを実現すれば、より優れた効果になるだろう」と述べた。
フォックスコン、8K生態チェーンの統合を狙う
フォックスコンは8Kテレビにより8K生態システムを構築し、シャープを通じ8K技術の応用と実用化を加速させることで、市場の機先を制しようとしている。
フォックスコンはシャープを利用しテレビ事業の開拓と拡張に取り組み、ハイエンドブランドのイメージを樹立し、新型市場のシェアを争奪しようとしている。
シャープは8K技術を将来的により広い分野に応用すべきと考えている。今回発表した8K生態産業は、川上の8Kコンテンツ撮影・編集・保存・伝送から最後の放送に至る、整った産業チェーンを構築する。
フォックスコンの陳振国副総裁は、同社の野心を示した。「当社とシャープは8K生態システム構築の重要な時期を迎えている。シャープは8K生態チェーン全体の統合に取り組む。当社は最短期間内にグループ全体の力を使い、8K生態システムを構築しようとしている。シャープは現在、産業チェーン各社との提携を模索中だ」
業界関係者は「フォックスコンは近年、産業チェーン川上の展開を加速しており、かつてのOEM大手から、多くの産業を一体化させる新しい商業帝国へと急変貌を遂げている。自社ブランドの代わりに有名ブランドを買収することは、フォックスコンのブランド化戦略になっている。ノキアブランドを打ち出した当時、フォックスコンのブランド化は理想的に進まなかった。新しい8K生態というコンセプトを通じ、フォックスコンとシャープは中国テレビ技術の中で注目を集めている」と話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年9月11日