沈黙は一種の力である。綺麗なレンズで、中国の「慰安婦被害者」22人の生存状況を鮮明にとらえ、スクリーンに何度も登場する白のフレームは、撮影中に数人がこの世を去ったことを伝えている。
「慰安婦」を題材にした中国語ドキュメンタリー『二十二』が9月8日、北米の10都市で公開された。記者は約30キロ車を走らせ、メリーランド州ゲイザースバーグにある「映画館AMCロヴィス18」を訪れた。ここはワシントンから最も近い『二十二』を上映する映画館である。
『二十二』は中国語音声・英語字幕、1日5回上映、PG-13指定で、米国の映画レイティングシステムに基づき、「保護者の強い同意が必要」とされている。『アバター』もPG-13指定だった。
100分間の映像は静かで重々しい雰囲気である。彼女たちの中にはすでに亡くなった人、多くの孫がいる人、寂しく暮らしている人がいるが、時間が過ぎても心の中の闇は消えていない。感情を煽るような解説や衝突のシーンはなく、レンズを通して、被害者が受けた苦しみに対する監督の感情が伝わってくる。
郭柯監督は記者に対し、「自分の家族だと想像したら、その傷を暴くことなど耐えられない。柔らかい方法でこれらを記録した。北米での上映を通し、海外にいる華人や留学生に見てもらいたい」と語った。
米国生活が長いバージニア州在住の華人の李さんと奥さんは『二十二』をを観に映画館に足を運んだ。李さんは、「中国にいる多くの友人が『二十二』の投稿をWeChatのモーメンツにしていた。米国でも上映されるとは思っていなかった。数年前、中国政府と民衆は慰安婦被害者の問題に重視するようになった。これは国民の精神状態が成熟したことを表している。しかし、これらの被害者に対し日本政府から謝罪がないことに心を痛め、腹を立てている」と話した。