日本は世界的にみてもタブーの多い国であることは、世界の民俗学者が共通して認識するところである。日本人にとってタブーはマナーと同様に重要なものである。タブーを破ると失礼な態度をしたとみられ、マナーを知らなければ容易にタブーを破ることになる。数えきれない日本のタブーは、日常生活の隅々でみられる。
テーブルに爪楊枝を置かない
日本はお箸文化圏に属する。箸を使用する際のマナーは研究つくされており、タブーも多い。たとえば「たたき箸」。箸でお椀などを叩くのはタブーである。妖怪を招来すると考えられているからだ。あるいは「ねぶり箸」。テーブルや人前において、箸に付いた物を舐めるのはタブーだ。他の食器で削ぐべきである。「迷い箸」は、料理の前で何を取るか迷い、箸を行ったり来たりさせることだ。「刺し箸」は、箸で料理を刺すのが問題というより、刺した料理を口に入れたり皿に置いたりすることがタブーである。「寄せ箸」。手ではなく箸を使って食器を手元に引き寄せるのはタブーだ。「そら箸」。箸で料理を掴んでからまた戻す行為はタブーである。周りの人に訝しがられると共に、主人は料理が口に合わないのかと思う。「なみだ箸」。箸で料理を取った際、汁がタラタラ落ち、他の料理や周りの人に影響を与えるのはタブーである。汁の多い料理はスプーンなどを使うべきである。
死に関するものは日本人にとって最大のタブーである。二人で箸を使って料理を挟むのは大きなタブーだが、これは葬式の風習に由来する。日本では火葬後、2名の親族が箸を使って共同で遺骨を拾い、骨壺に収める。その動作を想起させるため、大きなタブーとなっているのだ。めでたい席や公のテーブルでは特にやってはならない動作である。他にも、ごはんの椀に箸を縦に突き刺すこともやってはならない。死者の供養の際にするものだからだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年9月10日