22日に衆院選の投票・開票が行われ、安倍晋三首相が率いる自民党と公明党の連立政権が圧勝し、3分の2(310議席)以上の議席を獲得した。自民党単独でも過半数を占めた。この5年間で2回目となる解散・総選挙という政治の賭けで、安倍首相は再び勝利した。首相を3期続け、戦後日本で任期が最長の首相になる可能性もある。
連立政権、なぜ勝利できたのか
上海国際問題研究院の呉寄南研究員は「安倍陣営の勝利には、二つの縁があった。まずは天気だ。22日の投票日、日本は台風に見舞われ、多くの人が投票のため出かけることを避けた。これは与党にとって有利だ。有権者の5割を占める浮動する中立派(支持政党はないが、与党より野党への関心が高い)が、投票に出なかった可能性があるからだ。これらの浮動票は選挙結果を左右し、与党の勝利を脅かすことが多い。次に野党がバラバラになり、安倍首相に漁夫の利を与えた。289の小選挙区で野党が混戦に陥り、8割が自滅した」と指摘した。
野党間の溝がこれほど深まったのは、希望の党の小池百合子代表のミスが原因だ。小池氏本人は出馬せず、東京都知事も辞職しなかった。この未練がましい姿勢で、支持者からの信頼を失った。また小池氏は団結し多数をまとめる志がなく、民進党のリベラル派を排除し、安倍首相の反対勢力を最大限にまとめることができなかった。呉氏は「希望の党は最大の敗者になる可能性がある。一方で旧民進党の左派でつくる立憲民主党が、最大野党になる見通しだ」と予想した。
改憲が加速?
呉氏は「スキャンダルが続出したが、今回の勝利で安倍首相の政権基盤が固められr、来年の自民党総裁選に向け足場を固めた」と話した。
自民党は今回の選挙で、目標達成に向け大きな力を手にした。自公連立政権が3分の2の議席を占め、国会の憲法発議に必要なハードルを飛び越えた。呉氏は「改憲は安倍首相の政権運営の初心であり、勝利後の勢いに乗り改憲を加速させることは間違いない」と述べた。野党の希望の党、日本維新の会は平和憲法第9条をめぐる問題で、自民党よりも右寄りの姿勢を示している。与野党の改憲勢力が将来的に力を合わせれば、改憲の悪夢が浮上する。戦後平和体制が大きな脅威に直面し、日本の政治が重大な転換点を迎えるかもしれない。朝日新聞の報道によると、自民党憲法改正推進本部はすでに、選挙後に自民党改憲案を国会に提出することを検討している。
上海交通大学日本研究センターの王少普主任は「安倍首相の解散・総選挙の最終的な着眼点は改憲だが、願いどおりになるかは未知数だ。野党勢力が選挙で発展し、国際情勢も改憲に不利だからだ。そのため安倍首相は小幅推進し、自衛隊の存在を憲法に明記することを短期的な目標としている」と指摘した。
また改憲は国会を通過しても、最終的には国民というハードルを飛び越えなければならない。日本国民は完全に改憲を支持しているわけではない。呉氏は「日本国民は国民生活の問題により強い関心を寄せている。日本経済は表面的に好転しているように見えるが、国民に実感はなく消費の意欲が低迷している。中小企業は苦しい経営を強いられている。安倍首相が改憲問題に足を踏み入れすぎ、国民生活を蔑ろにすれば、国民の反感を買うことになる」と分析した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年10月23日