2015年9月に国連総会に出席していた安倍首相は、プーチン大統領と会談する際にも小走りしていた。これは礼儀であり、日露関係を改善したいという安倍首相の切実な心情も反映していた。安倍首相は2012年よりロシアを重視し、領土問題をめぐる交渉と経済協力を同時進行させる実務的な態度を示している。ところがウクライナ危機以降、米国はG7加盟国と対露制裁を行った。日本は米国の同盟国であり、対露制裁に追随するしかなかった。安倍首相は日露関係を改善する意欲はあるが、その力は不足している。
今年の中日国交正常化45周年記念日の前日、駐日中国大使館はホテルニューオータニでレセプションを開いた。安倍首相がサプライズ出席し、車を降りると程永華大使に向かって小走りした。これは間もなく実施される衆院選の票集めのため、もしくは数分間遅刻したことについて日本人なりの謝意を示すためだ。しかし安倍首相にとってより重要なのは、対中関係改善の姿勢を示すことだったと思われる。近年の国際構造の変化に伴い、米国の不確定性が高まり、中国のカードを切っても日本の外交の得点にならなくなったことで、安倍首相は対中関係改善により大きな政治・経済の利益を手にしようとしている。
今回のトランプ大統領の訪日で、安倍首相はさらに多くのものを手にしようとした。堅固な日米同盟関係のほか、日米経済摩擦の問題で見逃してもらおうとした。さらに米国と共に朝鮮への圧力を拡大し、長く計画してきた「インド太平洋戦略」を認めてもらおうとした。トランプ大統領の訪日で、安倍首相が「謙虚」な姿勢を示したのもうなずける。
注意すべきは、安倍首相には謙虚な一面があるが、外交の強硬な姿勢を隠せていないことだ。現代日本の保守派政治家の代表格である安倍首相は、対外政策で常に飴と鞭を使い分けており、これが短期間内に変わることはない。そのため中国はこれを念頭に置く必要がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年11月9日