オーストラリアのターンブル首相は18日、日本への訪問を開始した。日本メディアのこれまでの報道によると、これは、日豪の部隊による相互訪問に向けた「訪問部隊地位協定」の交渉がまもなく終結し、両国の軍事分野の協力が「より円滑となる」ことを意味する。
日本メディアの報道は味わい深い。とりわけ「より」という言葉にこもった意味は深い。実際には、これまでの「アジア太平洋」に代わるものとして現れた「インド太平洋」(Indo-Pacific)という戦略の名の下、日本とオーストラリアの両国は近年、軍事分野ですでにかなり頻繁な交流と協力を行っている。(文:李若愚・四川大学歴史文化学院副研究員)
日本防衛省は公式サイトで、日本とオーストラリアの軍事協力の見通しに高い評価を与えている。防衛省は、「オーストラリアは、我が国にとってアジア太平洋地域の重要なパートナーであり、同じ米国の同盟国として、民主主義、法の支配、人権の尊重、資本主義経済といった基本的な価値観のみならず、安全保障分野において戦略的利益や関心を共有してい」るとしている。
また日本側は、2007年3月に発表された「安全保障協力に関する日豪共同宣言」は、日本が米国以外の国と行う安全保障分野での初めての同レベルの協力であり、日豪防衛交流協力の一里塚を築くものとなったと強調している。時は過ぎて状況は変わり、オーストラリアを代表してこの宣言に署名したジョン・ハワード首相の名はすでに忘れられつつあるが、当時の日本の首相の名を知らない人はいないだろう。(第1次内閣時の)安倍晋三首相である。防衛省の日豪両国に対する「共通の価値観」という賛美の言葉と結びつければ、安倍首相の「自由と繁栄の弧」という構想がはっきりとよみがえってくることだろう。
日豪の軍事協力の目的が地域の平和を守ることならば、そのような協力は第三国に向けられるべきものではない。そうしてこそ外部の懸念を取り除き、アジア太平洋地域の平和発展を本当に助けることともなる。残念なことに、事実はそれほど簡単ではない。2013年から日本は、オーストラリアとの軍事協力を推進する際、中国の南中国海の問題や中国の海洋事業の発展に繰り返し触れてきた。そのような態度は今まで続いている。2017年11月1日、日本の『朝日新聞』は、日米同盟を基軸として日本がインドやオーストラリアと協力を展開することの狙いは中国の牽制にあると論じている。
中国には、日豪を含むその他の主権国家の外交・軍事政策に干渉する意図はない。だが日豪の軍事協力が、特定の国を仮想敵とする前提で展開されているのだとすれば、このような協力は、アジア太平洋地域の平和と安定に寄与するものではないだろう。とりわけ日本は、一方では、改憲は戦争の発動を意味しないと強調しながら、もう一方では、言うことと裏腹の行動を続けている。こうした振る舞いは、日本に対する周辺諸国の疑念を一層深め、侵略戦争という歴史の教訓を日本は本当に汲み取っているのかとの疑念を高めている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年1月22日