有権者の困惑、日本のいびつな政治を反映

有権者の困惑、日本のいびつな政治を反映。

タグ:安倍 施政方針 改憲

発信時間:2018-01-24 15:30:39 | チャイナネット | 編集者にメールを送る


 日本の安倍晋三首相は22日に国会で今年の施政方針演説を行い、再び改憲の目標について言及したが、具体的な日程表は明らかにしなかった。安倍首相がこだわる改憲に対して、日本国民は複雑な態度を示している。日本メディアが先週行った世論調査によると、安倍内閣の支持率は前回調査時より2.5ポイント増の49.7%となったが、改憲の反対者は昨年12月の調査時より6.2ポイント増の54.8%に達した。内閣支持率と主要政策・目標への不支持率がいずれも高いが、この異様な現象は日本の政治の歪みを反映している。

 

 昨年7月の東京都議選により、安倍内閣の支持率は39%に低下した。伝家の宝刀を抜き国会を急きょ解散しなければ、安倍首相は国会で責任を追及され、退任する流れになっていたはずだ。しかし小池百合子氏が自滅し、野党の分裂が生じ、安倍首相がこの政治的危機を乗り切ることになった。日本の有権者は仕方なく再び安倍首相を選び、さらにはその能力を信じてはいるが、改憲については支持しておらず、森友・加計問題のことも忘れていない。彼らの自民党と安倍内閣への不満は、まだ払拭されていない。つまり内閣の高い支持率は、日本の有権者も右傾化していることを意味しない。

 

 日本の有権者を困惑させているのは、日本の歪んだ政治環境だ。日本は表面的には多党制だが、政党交代のメカニズムが形成されていない。日本の9大政党の支持率は現在、自民党が33.8%、立憲民主党が11.3%となっているだけで、残りの政党は二桁台に乗れていない。政党政治は、自民党の一強という状況を呈している。野党には政権交代の使命感があるが、野党間の政治的な対立を克服できていない。昨年の「7月の危機」で、民進党は支持率が高めの日本共産党と協力し、さらにその他の政党とも協力し自民党を引きずり下ろそうとしていた。しかし民進党内では価値観を強調する右派が共産党との協力に応じず、世論もこれを支持しなかった。これによって民進党と共産党の共闘が実現されなかった。民進党はその後、東京都知事の小池氏を中心とする希望の党と協力しようとした。ところが小池氏は民進党内の左派を排除すると表明し、有権者を大いに失望させ、打倒自民党のチャンスを失った。野党は現在も自民党にいかに対抗するかを検討している。統合の流れは緩慢だが、これが成功すればスキャンダルを抱える自民党は重傷を負うことになる。

 

 自民党総裁の3選を目指す安倍首相は、あらゆる策を講じている。改憲が認められず、安倍首相は「改憲」を「加憲」に変えざるを得なかった。安倍首相は米国のアジア太平洋リバランスとTPPに追随したが、トランプ大統領が就任してからは苦境に立たされた。安倍首相が夢中になる「日米印豪」という構想が、本当にトランプ大統領の考えとは限らない。トランプ大統領は日米の二国間自由貿易交渉に焦点を絞っており、訪日した際には遠慮なく日米貿易の不均衡を批判し、安倍首相を針のむしろに座る思いにさせた。米国の政策方針が定まらず、安倍首相は米国以外の権力のバランスを求め始めた。この時、中国が優先的な選択肢になった。安倍首相は施政方針演説で中国との協力に特に言及し、さらには日中は「切っても切れない関係」と述べた。中国が安倍首相を信じるかについては、発言を聞きながら行動を見守るしかあるまい。

 

 安倍内閣の高支持率のベールをはがすと、その中にはこのような歪んだ日本がある。安倍首相はこの現実に直面し、枕を高くして寝ることができない。自民党の現在の状態も異常で、安倍首相はお友達ばかりを登用している。麻生太郎氏や菅義偉氏ら「親友」と権力を独占し、少数のトップによる政治を推進している。その他の議員は公の場で批判を口に出来ないが、裏では不満を抱いている議員もいる。党内の反安倍勢力は力を蓄積し、時期を待っている。石破茂氏、岸田文雄氏、野田聖子氏らは安倍首相の潜在的なライバルであり、麻生氏さえも派閥の実力を拡大している。河野太郎氏も麻生派の閣僚だ。

 

 高支持率は党内の権力をめぐる不穏な動き、有権者の改憲への不満、野党統合の流れを隠せない。安倍一強の裏では、内外の危機が生じている。安倍首相は絶えず政策を調整し、時代の流れに適応する必要がある。(筆者・廉徳瑰 上海外国語大学中日韓協力研究センター執行主任)




 「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年1月24日


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