長年にわたり、中国ではごく普通の、愛らしい日本の若者たちが常に活躍してきた。彼らは自身の知識と熱意を中国の地に捧げてきた。彼らの中には社会人になったばかりの若者もおり、中国語もほとんど話せないものの、努力と楽観的な姿勢で、異国の地で人としての価値を実現させようとしている。日本国際協力機構(JICA)が中国に派遣するボランティアたち、それがこうした若者たちだ。ボランティアたちは通常、1~2年間中国に滞在し、そのほとんどが条件的にも厳しい遠隔地や貧困地域へと派遣され、そこで教育や医療といった業務に従事し、現地の人々と一緒に生活する。
今回は江蘇省泰州市民興実験中学で日本語教師として派遣されている近藤千晶さんと学生たちとの交流を紹介していく。彼女は授業で取り上げた日本のアニメや浴衣の着付け体験を通じて経験したエピソード、そして自身の日本文化に対する新たな認識などについて紹介している。
泰州市民興実験中学は小中高一貫校です。私は高等部の日本語選択クラスの生徒(16クラス・約900名)に日本文化と会話を教えています。生徒たちは第一外国語として日本語を勉強しています。配属先がある泰州市は江蘇省の省都南京から鉄道で約1時間半の場所にあります。
今回は8月末に派遣されてからこの3ヶ月間の活動についてお話しします。私は現在、1年生は会話を、2・3年生では日本文化を教えています。私の授業は各クラス2年生が週に1回、1・3年生は2週間に1回あります。日本文化の授業では今までに日本の高校や地理、お月見などの年中行事について紹介しました。
一番盛り上がったのはアニメの授業です。生徒の要望で取り上げました。生徒たちはアニメが大好きです。しかし、私はアニメにあまり詳しくありません。そこで、授業の前半は日本人に親しみのある『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』『ちびまる子ちゃん』のキャラクターの名前を紹介しました。生徒たちはこれらのアニメを知っているのですが、中国ではキャラクターは中国名で知られています。日本語の名前は初めて知ったようでした。授業の後半では生徒たちに好きなアニメの名前を発表してもらいました。どのクラスでも、『名探偵コナン』『ONE PEACE』『NARUTO』『テニスの王子様』などの作品名が上がりました。他にもたくさんの作品名が挙がりました。最近生徒たちに一番人気があるのは『東京喰種』です。普段の授業ではなかなか発表しない生徒も一生懸命発表をしました。好きな理由も発表してくれた生徒もいました。好きなアニメについて熱弁する姿がとても心に残っています。やはりアニメの力はすごいなと思いました。アニメは日本文化を知る手段として大きな役割を担っています。