キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の瀬口清之氏は、ボアオ・アジアフォーラム2018年年次総会の開幕前、新華社記者のインタビューに応じた際に「一帯一路(シルクロード経済ベルト、20世紀海上シルクロード)の建設は、関連諸国・地域、さらには全世界の経済発展をけん引・推進できる。日本は積極的に参加し、協力とウィンウィンを実現するべきだ」と話した。
今年の年次総会は「開放と革新のアジア、繁栄と発展の世界」をテーマとする。瀬口氏は次のように指摘した。
革新は自由貿易体制の活力を維持する上で重大な意義を持つ。中国はすでに世界の発展をけん引する存在になっている。中国企業は高い市場能力、世界戦略経営能力、応用型革新能力を持っている。日本企業は基礎的革新分野で一定の実力を持つが、応用型革新能力は低い。両国企業には大きな協力の余地があり、相互補完とウィンウィンが可能だ。
中国が掲げる一帯一路は、中国の未来の安定発展の重要な礎であり、かつ関連国・地域のインフラ整備や、地域全体の経済発展を促すことができる。また一帯一路の建設は、中長期的に自由貿易体制を維持し、世界経済発展をけん引するといった重要な力を発揮する。日本は積極的に参加し、アジアインフラ投資銀行に早期加入することで、金融面から一帯一路の建設を支持するべきだ。
今年は中国の改革開放40周年だが、瀬口氏は中国の40年間の発展を「比較できない奇跡」を形容した。「中国は世界2位の経済体になった。中国が改革開放で手にした成果は、人類の歴史においてかつてないものであり、世界経済発展に多大な貢献を成し遂げた」瀬口氏は未来の改革掘り下げの措置について、「中国は改革開放の方向を揺るぎなきものとし、この理念を貫徹するべきだ」と判断した。
経済グローバル化において、アジアが演じる役割の重要性が増している。瀬口氏は「2010年以降、アジア経済圏は欧米を抜き、世界経済成長のリーダーになりつつある。アジア諸国は協力を強化し、発展の経験を共有し、世界をより良くするべきだ。中でも中国や日本など地域の大国の力が極めて重要だ。協力を積極的に強化し、地域全体の発展をけん引し、アジアが世界経済により大きな力を提供できるようにするべきだ」と指摘した。
瀬口氏は現在の脱グローバル化の流れについて、「この流れは中国などの国が推進する経済一体化と貿易自由化とって大きな妨げになっており、阻止する必要がある。保護貿易主義の思想が欧米で蔓延しているからこそ、中国などの国は自由貿易の旗印を高く掲げ、アジア経済のさらなる発展をけん引するべきだ。実際の行動により世界にグローバル化の良さを示し、新たなグローバル化の流れを巻き起こすべきだ」と提案した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年4月10日