中日韓3カ国の首脳による会談は、米トランプ政権による一方的な保護貿易的措置という背景の下、とりわけ人々の注目を集めた。経済貿易協力は、各国間の貿易往来を増進し、世界経済の協調発展を促す主要な道となる。中日韓は、世界の主要エコノミーであり、アジア太平洋地域の中核をなす国であり、極めて広大な協力の見通しを持っている。(文:文豊・南京大学歴史学院博士課程大学院生)
第一に、現代の経済の多極化の時代を背景として、東アジア地域の経済協力を推進し、欧州連合(EU)を超える経済成長が予測される中、3カ国は西欧とも北米とも異なる世界的な経済成長の極をつくることができる。中国と日本による衛生・医学やサービス産業、社会保障などの分野の一連の協力、締結を準備している通貨スワップ協定は、東アジア経済一体化のプロセスの推進を促すものとなる。9年前の日本民主党政権期、中日韓3カ国はかつて、極めて短い間だったが「東アジア共同体」構築推進の協力のチャンスを迎えた。さまざまな原因から、この構想は実施されることなく頓挫した。今回の中日韓3カ国の首脳による会談は、達成された目標がどのようなものであるとしても、少なくとも東アジア地域の国際関係の緩和、とりわけ世界の第二と第三のエコノミー間での関係緩和に向けて、実質的な歩みが踏み出されたものと言える。
第二に、世界の産業のモデル転換と高度化の過程において、1970年代から1990年代に先端産業国に発展した日韓両国は、ハイテク分野で自主革新の積極的な深化を進める中国と、極めて緊密な戦略的利益を共有している。すなわち3カ国が各自で戦い、「比較優位」をばらばらに発揮するのではなく、東アジア全体が世界の製造業の第一ブロックとなり、欧米と肩を並べて進むのでなければならない。欧米先進国は結束し、世界の産業のトップレベルの占拠をはかっている。日韓は、いくつかの鍵となる分野を抑えている。中国は近年、航空・宇宙やスーパーコンピューター、通信技術などの分野で世界をリードし始めている。日韓両国は、精密技術産業で極めて強いアドバンテージを誇っており、中国は両国と相互に補完し、相互に学習する大きな余地を持っている。東アジア3カ国の経済貿易協力の見通しは、世界第二のエコノミーに成長した中国自身の製造業の高度化と経済構造の改革に依存し、日本政府が経済回復の良好な状況を保持できるかに依存し、朝鮮半島情勢の安定と好転に依存している。だが中日韓の間での経済貿易とその他の分野での幅広い協力の持続的推進は、一つの時期や一つのできごとによって左右されるべきではない。アジア太平洋の局面には、米国の世界覇権の巨大な影が落ちているためだ。