日本では出生率が低下を続けているが、職場は女性職員に「妊娠順番制」を求めている。専門家は、この普遍的に存在する現象は、日本の現在最も差し迫った2つの社会問題を浮き彫りにしていると指摘した。それは人口減と、女性が仕事と家庭のバランスを取りにくいことだ。
佐代子さん(35)は日本企業の「妊娠順番制」の被害者の一人だ。2年間かけても2人目を授からなかった彼女は、職場から「時間切れだから、新婚の女性職員の番だ」と伝えられた。
彼女が働くデイケアセンターには、明文化されていない規定があった。それは女性職員が非公式の「順番表」に従い出産することだった。「当時はショックで反応できなかった」彼女はその後別のセンターに転職し、願いが叶い先ほど2人目を出産した。
順番を守らなければ謝罪を強制
このような順番制は、日本ではよくあることだ。ある男性は投書し、妻が妊娠の順番を守らず職場から叱責され、謝罪を強いられたと訴えた。これは日本社会で、妊娠順番制をめぐる白熱した議論を展開した。
専門家は「順番制の強制は違法行為だが、日本では非常に普遍的だ。流動率が高く、若い女性職員が中心である病院や託児所などの職場ならばなおさらだ」と指摘した。
日本は出生率が下がり続けており、これにより労働力が不足し、妊娠順番制が広がる原因となっている。また日本社会では現在も、女性が家庭を切り盛りし子育てをすべきと考えられている。多くの兼業主婦は、仕事と家庭のバランスをとれず苦しんでいる。
ニッセイ基礎研究所の天野馨南子氏は「女性は専業主婦が一番と思う人々は、女性が妊娠後に会社を辞めればいいと考える。仕事を続けたければ、自分の番を待ち出産しなければならない」と話した。
「このような環境のもと、一部の女性は自分が不公平に扱われているという意識を持たず、むしろ産休をとることで申し訳ない気持ちになる」
職場で差別される母親
天野氏はさらに、「日本の職場が妊娠順番制を強いるのは、労働力不足への対策であるが、むしろ出生率低下の問題を激化させ悪循環になっている」と指摘した。
取材に応じた多くの女性は、妊娠順番制は新婚女性や比較的高齢の女性に対して、「早く産まなければ」というプレッシャーをかけると指摘した。日本の女性は母親になると、職場でさまざまな差別を受ける。
3人目を産んだばかりの看護師の真由さん(42)は、職場復帰してから昇進に向けた研修を申請しようとしたところ、上司から「産休を取得し、勤務時間が他人より短いのに、さらにどんな優遇を受けるつもりか」と言われたという。
真由さんは、減給により毎日の勤務時間を1時間減らす子育て支援制度を利用したが、昇進の機会を失うとは思わなかった。上司からの報復を恐れ、苦情を言えず口を閉ざしているという。
天野氏は「日本は女性の社会進出を促進したければ、職場の文化を変えなければならない。仕事のために家庭生活を犠牲にすることを、称賛に値する行為としてはならない」と警鐘を鳴らした。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年6月5日