『日本経済新聞』によると、富士通は8月22日、日本の次世代国産スーパーコンピュータに搭載する新型CPUを発表した。富士通はスパコンを新たな成長の「切り札」と定義するが、日本のこの分野における存在感は低下している。中米のハイテク競争が激化する中、日本の国産スパコンの不調は日本の電子機器産業の衰退を意味すると言える。
スパコン「京」の後継機として、理化学研究所は2021年の次世代スパコン導入を目指して準備を進めている。日本政府が約1100億円、富士通が約200億円を出資し、演算速度を「京」の約100倍にする計画。現在の世界最速のスパコンの10倍に相当する。富士通の新型CPUが実用化すれば、日本の次世代スパコンは計画通り2021年に導入される。
富士通はスパコンを新たな成長の「切り札」と考え、人工知能(AI)、量子コンピュータ関連技術の「デジタルアニーラ」とともに重要な位置に置いている。しかし、インターネット業務の不調により、富士通の業績も低迷している。
田中達也社長は営業利益率を10%以上に高めることを目標にしているが、同社の2017年度(2018年3月まで)の利益率はわずか4.5%で、目標とほど遠い。田中社長は構造改革も進めており、富士通の業務形態の変更を急いでいる。主な措置は、経営資源を主力のITサービス分野に集中させると同時に、携帯電話、パソコン、半導体などのノンコア事業の切り離しである。
各種事物を巨大データに高速かつ正確にまとめるには計算能力の高い設備が必要となり、スパコンは演算を支える技術の1つである。
富士通はスパコンをAIと組み合わせるほか、産業分野に応用したいとも考えているが、見通しは明るくない。世界スパコントップ100の上位は中米が占めている。トップ100にランクインする日本のスパコンはわずか16台である。一方、先端技術の育成に力を入れる中国は自主技術を確立させ、米国と肩を並べられるようになり、中国と日本に大きな差ができている。
日本のスパコン開発企業は少なく、政府も財政に余裕がないため科学技術分野に巨額を投資することは難しい。性能に優れた既存のスパコン「量子コンピュータ」などの技術も急速に進化している。報道によると、日本は次世代スパコンの開発に1000億円以上を投資し、その投資が無駄にならないように、政府もスパコンの産業界への応用に力を注ぐ必要がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年9月1日