日中経済協会
調査部長 髙見澤学
11月5日、上海において第1回中国国際輸入博覧会が開幕し、10日までの予定で開催される。日本でも、本博覧会に関するニュースが報じられ、世界約150の国と地域から約3,000社の企業が参加しているなかで、日本が約450社と国別で最多となっているという。
5日午前に行われた開幕式で、習近平国家主席は、繰り返し経済のグローバル化、自由貿易推進の大切さを強調し、中国が今後15年間にモノとサービスの輸入額が40兆ドルを超える見通しであることを示した。このように、今、中国は世界各国からのモノとサービスの輸入に力を入れようとしているのである。
昨年からの回復の流れを受け、今年の世界経済は概ね堅調に推移している。こうした世界経済の回復は、自由貿易を中心とする経済のグローバル化と、最近の情報通信技術の進展による第四次産業革命の到来に起因するところが大きい。今後は世界全体が遍く利益を享受できる新たなグローバル化の流れや枠組を創り出していく必要があろう。
世界の大勢は経済のグローバル化、マルチの自由貿易を求める方向にあるが、その一方で、米国による保護貿易主義や極端な自国主義の動きが、世界経済にも少なからず混乱をもたらしている。この先、更なる混乱が懸念されるなかで、今回、本博覧会が開催されたことは、非常に時宜を得たものであると評価したい。
グローバル化の進展に加え、昨今、中国で先行しているデジタル経済の発展は、従来産業に新たな革命をもたらし、新しい製品・サービス、より付加価値の高いモノやサービスを創り出し、国民生活に更なる豊かさを提供してくれることだろう。それには、国や地域の枠を越え、各国の企業がそれぞれの優位性を活かした相互補完の経済協力、産業協力を進めること、そのための国際ルールに基づく自由で公正で、世界に開かれた貿易体制の維持が欠かせない。その一方で、新たな環境に適合した貿易・投資ルールの在り方も探究する必要がある。
今回の博覧会の開催が、中国が開放型の世界経済建設を進め、経済のグローバル化を支援する実質的な行動の先駆けとなるよう期待したい。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年11月7日