日本経済新聞がオランダ学術情報大手エルゼビアと共同で実施した調査によると、先端技術の30テーマのうち中国が23で首位になった。
電池や生物などの先端技術研究テーマのランキングを見ると、8割のテーマで首位の中国は研究費の投資を加速している。先端技術の研究は、5−20年後の産業競争力を左右する。
文部科学省の科学技術・学術政策研究所によると、中国の研究開発への投資額は2016年に約45兆円で米国の約51兆円に肉薄する。学術誌に投稿された論文数もエルゼビアの調査では、中国は17年で51万件と5年前より27%増えた。米国は56万件だが、同期間で5%増とほぼ横ばいだ。
中国は次世代情報技術や新エネルギー車など10の重点分野を設定している。研究力を強化して、25年に世界の製造強国の仲間入りをし、2049年に世界のトップ級になることを目指している。
電池関連の研究は電気自動車(EV)や携帯端末、将来のインフラ網を支えるセンサーや機器などの電源になる。半導体の研究は、次世代通信規格「5G」の通信機器などにも役立つ。
新材料の研究は航空宇宙など様々な製造業の低コスト化や高機能化を支え、医療の研究は画期的ながん治療などにつながる。電子機器や医薬品、航空宇宙などのハイテク分野での、製造強国の実現に向けた研究開発の重点化と言える。
現在の中国は家電や自動車などを生産する「世界の工場」だが、部品など基幹技術は欧米や日本が握るとの見方も多い。中国政策に詳しい大和総研の斎藤尚登主席研究員は、「中国は輸入依存度の高い分野でも自前で調達できるよう、ハイテク産業の研究などに集中投資している」と述べた。
中国がこのように研究開発から力を入れるのは、大学や企業が取り組む研究が新産業の芽になるからだ。学術的な基礎研究からスタートし実用化を視野に入れた応用研究を経て、製品やサービスとして普及する。中国は長年の研究開発で特許や技術力を取得し、力を蓄えることが産業化の足がかりとなる。
中国の幅広い産業で普及する人工知能も、5−10年かけた地道な研究が花開いた分野だ。論文は2010年前後から増え、翻訳や自動運転、医療などへの応用研究が急激に進んだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年1月9日