訪露中の日本の河野太郎外相は14日、ロシアのラブロフ外相と会談する。河野氏の今回の訪問は、安倍晋三首相の今月下旬の訪露の「地ならし」とされている。日本メディアは、北方四島(ロシア名・南クリル諸島)の領土問題と平和条約をめぐる交渉が、今回の会談の重要な議題になると予想した。
アナリストは、両国首脳は平和条約の交渉を加速することで合意したが、双方が領有権や安全保障などの問題をめぐり依然として大きな食い違いを残していることから、河野氏は今回厳しい状況に直面すると判断した。
主な任務
河野氏は12−16日にロシアを訪問する。報道によると、安倍氏の今月下旬の訪露に向けた調整のほか、日露平和条約をめぐる協議が河野氏の今回の主な任務となる。
安倍氏は昨年11月にプーチン大統領とシンガポールで会談し、1956年の「日ソ共同宣言」に基づき日露平和条約の締結をめぐる交渉を加速することを確認した。日ソ共同宣言の第9条には、双方は平和条約締結に向けた交渉を継続し、ソ連は条約締結後に四島中の歯舞・色丹を日本に返還すると定められている。安倍氏とプーチン氏は昨年12月、河野氏とラブロフ氏を交渉の責任者に指名した。
アナリストによると、両外相の14日の会談は、平和条約の新たな交渉枠組み内で行われる初の会談とされている。日本側が平和条約締結の前提とする領土問題に進展があるかが注目されている。
河野氏の訪露に続き、安倍氏も今月下旬に訪露しプーチン氏と会談する。安倍氏は最近、プーチン氏と共に平和条約という両国間の懸案に終止符を打つ決意をしたと重ねて表明している。
埋まらない溝
アナリストは、日露は領有権などの問題をめぐり依然として大きな溝を残しており、河野氏の今回の交渉は先行き不透明と判断した。
まず、双方は領有権問題で立場がまったく異なっている。日本側は二島が日本に返還されれば、領有権も日本のものになると主張している。ところがロシア側は、ソ日共同宣言は平和条約締結後に二島を返還するとだけしており、返還の根拠や返還後の領有権などについては示していないとしている。
ロシア側はさらに、二島を日本に返還すれば、日米両国が「日米安保条約」に基づき島に米軍基地を設置することを懸念している。この問題について、安倍氏は米軍基地を設置することはないと述べたが、ロシア側の懸念を払拭できていない。プーチン氏は日本側が同問題について十分な自主権を持つかを公然と疑問視した。
次に、双方は日本の元島民のロシアに対する賠償請求権をめぐり争っている。日本側は、元島民の財産はロシア側の島に対する「不法占拠」により損なわれたため、日本政府もしくは元島民はソ連もしくはロシアに損失の賠償を求める権利があると判断している。しかしロシア側はソ連とロシアによる四島の占有は第二次大戦の結果であり、日本側が称しているような「不法占拠」ではないという姿勢を崩していない。
河野氏の出発前、ロシア側は何度も日本を非難していた。ロシア外務省は9日、上月豊久駐ロシア大使を呼びつけ、日本側の最近の領有権問題に関する発言に抗議した。ロシア外務省は11日、河野氏の訪露について声明を発表し、南クリル諸島の領有権を含む第二次大戦のすべての結果を全面的に認めるよう再び求め、かつこれを双方が平和条約の交渉を行うための重要な条件とした。
ロシア国内を含め、島を日本に返還することに反対する声が各界で高まっている。日本メディアは、河野氏が訪露し、双方が平和条約をめぐり正式に交渉を開始する前に日本側を非難したのは、国内の世論や議会の反発に配慮するためであり、かつ日本側が交渉のハードルを引き上げることをけん制するためでもあると分析した。河野氏は厳しい状況を迎えることになりそうだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年1月14日