日本の高い科学技術革新力と工業生産能力も、役立てる場がないわけではない。実際に、日本と米国の安全戦略関係の強化は、装備品の協力の面に現れている。日本は自国の技術力により、各種装備品の共同開発と大量の部品の生産に参加している。米国の軍需産業には日本が不可欠と言える。この研究開発と生産の融合は、経済グローバル化の時代における同盟国の相互補完を示している。これは日本が同盟国としての自尊心を維持する上で有利であり、さらには日本に対して同盟国と軍需産業の基礎と装備品の保障を共有するという幻想を抱かせている。ところが日本には整った軍需品生産能力がなく、本当に平等に共有できるか否かは当事国の日本が最もよく理解しているはずだ。
より日本を懸念させている問題は、同盟国の国際政治・安全戦略の混乱と失策だ。今後の国際安全・発展のすう勢において、日本は同盟関係により絶対的な安心化を得ることができない。このような未来が待ち構えていることは、日本国民、政界、さらには軍も完全に信じることができないだろう。信じることができたとしても、それは日本の政治大国という期待に完全に合致するとは限らない。
米国が相談もせず各種組織から離脱し、国際構造が変化を加速するなか、日本は別の政治・安全の未来に期待しているかもしれない。安倍晋三首相とその閣僚が世界各地を訪問し、かつ同盟関係を結んでいない地域の大国との関係改善にも力を入れている。東アジアと大東亜一体化の未来を見据え、日本は新たな協力先を切り開き、日本の各種工業企業の自主生存と復興の能力をつけることができる。これは日本の長期的な利益に合致するため、国内の軍・政治・企業の各界もこれについて議論し、選択肢を多様にしていくことだろう。(筆者・楊育才 国防大学国家安全学院教授)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年3月13日