こうした要素のほか、日本企業の国内回帰ラッシュには以下の4つの原因もある。
第1に、新興市場の消費能力が継続的に向上し、高品質で、安全、かつ信頼できる「メイド・イン・ジャパン」が新興市場の消費者の間で人気になっている点。日本企業の国内回帰は、コストだけを考えた策ではなく、先端商品の需要が高まる市場の流れに順応し、日本国内の技術研究開発能力や管理能力を十分に活用し、「メイド・イン・ジャパン」というブランドのメリットを最大限発揮させようと狙っている。
第2に、日本が観光立国を推進し、インバウンドが急速に発展し、訪日外国人観光客の日本におけるショッピングが日本国内の消費市場拡大を牽引している点。2017年、外国人観光客の日本における消費額は12年の4.1倍に増加した。そして、2018年にはその額が4兆5000億円に達し、そのうちショッピングが34.7%を占めた。日本は2020年までに外国人観光客を4000万人に、消費額を8兆円にすることを目標としている。
第3に、越境ECプラットフォームが急速に発展しているため、消費者がインターネットを通して「メイド・イン・ジャパン」の商品を購入しやすくなっている点。日本経済産業省の各国の越境ECに関する調査報告によると、2017年、中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は1兆2978億円と、前年比25.2%増だった。ジャンル別で見ると、トップ3は化粧品、日用品、食品だった。
第4に、日本は、「日本・EU経済連携協定」と「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」に調印したため、関税が削減され、輸出関連の企業にとっては、競争力が向上した点。「日本・EU経済連携協定」では、日本からEUへ輸出される乗用車の関税は、8年後には完全撤廃されることになっている。これも、日本の自動車メーカーが国内での生産に回帰する主な原因となっている。
海外で生産する際に直面する投資環境などの問題や今後日本国内のモノのインターネット、ロボット、人工知能(AI)などの新技術が生産効率向上に与える影響などを総合的に検討した結果、日本国内で生産したほうがメリットが高いとの結論を下した企業もある。
日本総合研究所の報告は、「日本企業の国内回帰は、日本経済の発展を促進するが、人口減少などの構造性問題が解決されない限り、国内回帰の動きがさらに大きくなることはないだろう。企業の回帰を政策誘導目標とするよりも、人口の減少を食い止める取り組みを実施し、企業の国内経済成長に対する影響に期待したほうが良い」と指摘している。(編集KN)
「人民網日本語版」2019年4月10日