「地球儀を俯瞰する外交」、2.0バージョンを開始

「地球儀を俯瞰する外交」、2.0バージョンを開始。

タグ:地球儀を俯瞰する外交

発信時間:2019-04-26 14:40:25 | チャイナネット | 編集者にメールを送る


 日本の安倍晋三首相は欧米6カ国を訪問中だ。2012年に就任後「地球儀を俯瞰する外交」を掲げてから2018年末まで、安倍氏は戦後日本の外交の記録を樹立した。海外訪問回数は73回で、78カ国・地域を訪問し、大小の首脳会談を60回以上開催した。安倍氏は戦後日本で就任期間が最長の首相になっており、任期内の景気拡大は「いざなぎ」超えとなっている。うち「地球儀を俯瞰する外交」が大きな力を発揮している。安倍氏の国内における支持を固め、「アベノミクス」を外交で後押ししている。


 複雑で変化の激しい政局の駆け引きのなか、安倍氏が今日まで歩み続けることができたのは、その外交政策と柔軟な措置によるものだ。「地球儀を俯瞰する外交」を推進し、「積極的平和主義」を提唱し、19世紀のドイツの首相であるビスマルクの外交にならい確かに一定の成果を手にしたが、多くの計算ミスと失策も生じた。そこで安倍内閣は近年の外交の変化を注視し、外交方針のアップグレードを試みた。輪郭が日増しに明らかになる外交の6つの取組方針を徐々に形成し、「地球儀を俯瞰する外交2.0バージョン」の基本的な構造を生んだ。


 (一)米国重視という外交の基礎を維持する。柔軟な国家戦略と安全の利益を求めると同時に、米国を中心とする伝統的な価値観を持つ国の外交を続けることが、日本の外交にとって最優先事項だ。


 (二)隣国外交のアップグレードを重点とする。周辺関係の調整を戦略的視野に入れる。対中外交は安倍氏の隣国外交の実務的モデルチェンジの成功例になっている。これは日本の外交の柔軟性を示している。


 (三)経済外交が実務的なターゲットに。外交によりアベノミクスを支え、日本企業の収益を拡大する。「一帯一路」枠組み内の中日の第三国市場における協力を掘り下げ、粤港澳大湾区との協力の模索が注目点になる可能性がある。


 (四)グローバルガバナンス外交が浮上。温暖化など世界的な課題の解消を促し、保護貿易主義に反対し、経済・貿易の多国主義を堅持する。これらは「地球儀を俯瞰する外交」が別の道を切り開くための目標になっている。


 (五)アジア・アフリカの重要問題をめぐる外交が、日本の外交の新たな標的に。日本はアジア・アフリカの中小国の力への重視を強めている。安倍氏が任期内にアジア・アフリカの20カ国以上の中小国を初訪問したことも、この狙いを裏付けている。


 (六)「インド太平洋戦略」外交の掘り下げ。米日豪印さらには東南アジアの異なる力の発揮を促し、インド太平洋地域戦略連盟を構築し、競争相手を圧する日本の強靭な力を示した。


 「地球儀を俯瞰する外交」の1.0バージョンは世界に手を伸ばし、各地を歴訪し世界的な影響力を形成し、「正常な国」になるため取り組んだ。それと比べると2.0バージョンは、距離が近いのに心の距離が遠い隣国との関係を改善しなければ、日本の外交は依然として確かな基礎に根ざすことが出来ず、歴史と現実のハードルを突破することもできないことを意識した。自民党の二階俊博幹事長は北京で開催される第2回「一帯一路」国際協力サミットフォーラムに向かう前、現在の中日関係を積極的に評価した。対中外交を上手く処理しなければ日本のアジアの外交はなく、日本の外交は身を寄せる場所を失うとの観点を示した。これには与党と安倍内閣が中日関係の改善を促し、正常な多元的交流を開始しようとするのは、安倍外交の円熟味の現れであり、日本の世界外交の前提でもある。アベノミクスの長期安定に対しても力強い支えを構築する、という意味が込められている。


 この意義から論じると、対中関係の積極的な改善、北東アジアの二国間・多国間外交への融合は、広域から中軸の形成に向かう安倍外交の質的向上を示している。周辺の隣国に焦点を合わせ、戦略面で先手をとる。これは安倍氏の「地球儀を俯瞰する外交」の調整後の重点だ。


 安倍政権の「地球儀を俯瞰する外交」のモデルチェンジとアップグレードは、中日外交関係の改善による正常化への後押しが不可欠だ。外交から政治、経済から文化、指導者から国民、二国間から多国間といった、対中外交が直接的もしくは間接的に生み出した成果により、日本の外交は近隣外交と経済外交を両翼とする数多くの成果を手にした。最高指導者と高官の交流の頻度が上がり、中日の貿易額と投資協力が再び回復し、観光がけん引する民間交流が熱を帯び、一帯一路枠組み内でウィンウィンの協力が展開される。対中外交の持続的な改善から正常化への飛躍は、安倍氏の柔軟で実務的な外交の試金石となる。対中経済貿易協力及びスピルオーバー効果はアベノミクスを外から支える。中日友好を促進する努力も、安倍内閣の支持率を安定させる積極的な要素になる。


 安倍政権の外交は当初、アジア太平洋で中国との競争を目的としていた。けん制を優先し、脅威に備え、冷淡な態度で孤立した。しかし現実は、周辺の支えを失った日本の外交はレームダックであり、周辺を捨てれば外交の防護壁を捨てることに他ならず、日本の外交が特色を失うことを証明している。現在の「地球儀を俯瞰する外交」が周辺への努力を開始、あるいはそれに回帰したことは、日本の外交と経済にとって良いことだ。北東アジアの周辺諸国との外交と平和、さらにはアジア太平洋の通商協力にとってもメリットになる。


 現在の日本の外交は、価値観外交、実力の外交、柔軟な外交などを適時調整し組み合わせている。中日関係の正常化の推進は、その隣国外交と経済外交の柔軟性を示している。またその独立した外交により、日本の地域外交及び経済協力の利益の最大の支えを手にしようとしている。両国の国交正常化後の長い期間から見ても、両国の繁栄や国民の幸福促進といった角度から見ても、あるいは両国の経済・文化・スポーツ・青少年交流などの実務面から見ても、この支えは脅威を協調とし、競争を協力とし、対立を友好とする中日の新たな共通認識を長く固め続けることだろう。


 「地球儀を俯瞰する外交」2.0バージョンの開始は、間違いなく正しい選択だ。今後も有形無形の修正もしくは試練を迎えるだろうが、中日の長期的な外交の利益に合致する正しい方向に沿い、中身を絶えず充実化させることに期待する。(筆者・笪志剛 黒竜江省社会科学院北東アジア研究所所長、研究員)


「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年4月26日

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