米ブルームバーグは25日、「トランプ米大統領が最近、日本との安全保障条約を破棄する可能性についての考えを側近に漏らしていたことが分かった。事情に詳しい3人が明らかにした。トランプ大統領は米日安保条約が米国にとって不公平だと考えている」と伝えた。
この複数の関係者によると、トランプ氏は同条約について、日本が攻撃されれば米国が援助することを約束しているが、米国が攻撃された場合に日本の自衛隊が支援することは義務付けられていないことから、あまりにも一方的だと感じているという。米軍は日本国内に約5万4000人を駐留させている。これらの軍隊により、米国はアジア太平洋で軍事攻撃を行いやすくなる。トランプ氏が本当に米日安保条約の破棄を決定した場合、在日米軍は予測不可能な影響を受ける。トランプ氏が日本に新たな条約の締結を求め、米軍駐留費の負担を拡大させる可能性があるからだ。米ヘリテージ財団の学者はかつて、「米国が同条約を永遠に守ることを定めた条項はない。米国は米日戦略同盟の政策を見直すべきだ」と述べた。
トランプ氏の「考え」が発表されると、日本政府が火消しに負われた。菅義偉内閣官房長官は25日の記者会見で、「報道にあるような話はまったくない。米大統領府からも米政府の立場と相いれないものであるとの確認を得ている」と述べた。時事通信の25日の記事によると、韓国メディアは本件に注目している。朝鮮日報は同日、「トランプ氏は米日安保条約が米国にとって不利と考え、その破棄を求めている。これは韓米相互防衛条約に影響する恐れがあり、韓国は本件の今後に注目するべきだ」と報じた。25日付朝日新聞は、トランプ氏は常に「米国は世界の警察ではない」という観点を持っており、これまでも同盟国に対して「公平な負担」を何度も求めていたと伝えた。共同通信は25日、米政府の全体戦略の動向と異なり、トランプ氏は同盟国を軽視する態度をしばしば示すと報じた。2016年の大統領選では在外米軍の規模を縮小するか直接撤退させることを主張した。トランプ氏はさらにNATO脱退の考えを周辺に漏らしたことがあり、かつNATO加盟国に対して国防予算の分担拡大を求めている。マティス前国防長官など同盟国を重視する高官が相次いで退陣しているが、これはトランプ氏の予測不可能な態度による懸念が拡大しているためだ。
共同通信は25日、G20大阪サミットの開幕を控えるなか、トランプ氏の上述した発言は日米貿易協議などの場で日本をけん制するためのものと伝えた。1960年に改正された米日安保条約は、「日本施政権下の領域におけるいずれか一方への武力攻撃に対しては共通に対処・行動すること」とされている。また日本には米軍に基地を提供する義務がある。一方が破棄の意向を示さなければ、同条約は自動的に延長される。
共同通信の25日の報道によると、上智大学総合国際学部の前嶋和弘教授は、「トランプ氏のこの発言はプライベートな会話の内容であり、現時点では過度に解釈するべきではない。2016年の大統領選でも似たようなことを言っており、これはトランプ式の取引の材料と見ることができる。日本はこれまで在日米軍の75%の費用を負担しており、米国のその他の同盟国の負担率をはるかに上回っている。日本の負担をさらに増やし、さらには全額負担させることは、常識的に考えればありえない。これはトランプ氏が日本に貿易交渉で譲歩を迫るための圧力かもしれない」と話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年6月26日