東京都心で夜に食事することは容易ではない。すぐに行列ができるためである。日本では、仕事が終わると街は賑やかになる。「夜間経済」は消費を刺激し、日本経済の成長を牽引する重要な原動力になっている。
「深夜食堂」といえば、多くの人が日本を思いつくだろう。飲食業は自動車製造業に次いで大きい日本の基幹産業と言われている。社団法人日本フードサービス協会調査研究センターのデータによると、2018年の日本の飲食業の市場規模は33兆9000億円に達した。うち、飲食。宿泊業は20兆8000億円に達し、夜間消費は60%以上を占める。
日本の夜間飲食業の種類は多く、高級料亭もあれば、大衆食堂もある。その中で、居酒屋は最も多い。同僚、同級生、スポーツ仲間などと「同窓会」をし、軽く飲む。日本人にとって、酒は社会の潤滑剤である。多くの飲食店で、料理はメニューを見て注文するが、ドリンクは定額の1~2時間の飲み放題となっている。日本人は「はしご」が好きで、店を何軒も渡り、絆を証明する。
近頃、日本の飲食店に新たな形態が登場している。有名醤油メーカーのキッコーマンは銀座付近に「キッコーマン ライブキッチン東京」をオープンした。料理人がライブ形式で調理テクニックを披露し、調理しながら食材の産地、栄養価、調理の注意事項などを解説し、隣で司会者が様々な質問をする。このような新鮮なものは人気を集め、2020年の東京オリンピック期間中の予約もすでに多く入っている。
飲食以外に、夜間のカルチャー・レジャー活動も豊富多彩である。劇場、映画館、コンサートホールは「文芸派」が多く集まる場所で、日本の伝統劇と欧米の流行劇が入り乱れる。ナイトシアターは、昼間は仕事が忙しいが最新映画を逃したくない人のスポットになっている。記者をしているある友人は、ここ数年公開された映画をほぼ見逃したことがないという。
そのコツを尋ねると、夜中1時の原稿締切後に興奮して眠れず、ナイトシアターに新作映画を観に行く。一部の映画館は女性割引や夜間回数券などの優遇で客を引き寄せている。夏には映画館、水族館、遊園地などが夜間に無料開放し、専門の解説員もつき、小・中学生の夜間イベント参加を促している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年9月1日
2020年東京五輪を迎えるにあたり、日本政府は交通、ホテル、ショッピング、飲食などの総合サービスの拡大に尽力している。各地方自治体はナイトライフを都市の競争力向上の重要な手段としている。国際カジノ研究所の木曽崇所長によると、地方自治体は経済成長に重視し、夜間消費の活性化に力を入れている。東京、横浜、大阪などの都市は地元の特徴的なサービス業を発展させるための様々な措置を打ち出した。
渋谷は流行文化発祥の地、若者の楽園であり、劇場やゲームセンターが多く、日本祭や西洋祭などの文化イベントが絶えない。横浜は港湾都市の優位性を生かし、花火大会や仮面パレードなどのイベントを開催。千葉県幕張市の夜のカートレースも特徴的で、東京の若者を引きつけている。
近年、日本人の所得差は拡大し、娯楽と消費は多様化している。階層と趣味の異なる人たちが夜に自分にふさわしい消費場所を選ぶ。評論家の木曽氏は、消費心理の面から観察すると、多くの人が夜間の消費欲は昼間より高く、財布の紐も緩みがちだと分析する。
東京の電車や地下鉄などの公共交通機関は深夜1時頃まで運営している。そのため、深夜は朝と夕方のラッシュに続く3つ目のラッシュアワーとされている。数年前、東京都知事は公共交通機関の24時間運営構想を打ち出したが、列車、鉄道維持と運営コストを理由に実現していない。終電に間に合わなかった人はタクシーで帰宅するか、近くの旅館に泊まるしかない。今後、自動運転技術の普及に伴い、夜間消費を制約する交通面の障害は軽減されるとみられる。日本の夜間消費の発展余地は大きいと言える。(文:蘇海河)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年9月1日