日韓間の貿易摩擦のエスカレートに伴い、地域協力は苦境に陥るのだろうか?中日韓三国協力事務局元事務局長の李鍾憲氏は単独インタビューに「三か国の経済発展は多角的貿易体制のおかげだ」「現在の国際情勢の下、三か国協力が二国間関係や地政学による妨害を受けて立ち往生すべきではない」と語った。中国新聞社が伝えた。
現在、世界で台頭する保護貿易主義が多角的貿易体制に打撃を与えている。今年9月初めに退任したばかりの李氏は「中日韓三か国の過去数十年間の経済発展実現は、グローバル化及び多角的貿易体制のおかげだ。自由で開かれた貿易及び投資は、経済成長に重要な役割を果す」と指摘。
「中日韓間には競争関係があるが、科学技術、情報通信、電子商取引などの分野で比較的強い補完性と共通点がある。三か国は貿易の関係性を強化し、潜在的な外部リスクを減らし、世界経済の発展を促進すべきだ」と述べた。
また「近年、中日韓三か国は二国間関係においていくつか困難を抱えているが、依然として協力には多大な潜在力がある」と率直に語った。
李氏の示した統計によると、中日韓はアジアの重要なエコノミーであり、三か国は国内総生産(GDP)と対外貿易の総額で世界全体の20%以上を占める。だがEUや北米自由貿易圏と比べると、三か国間の貿易依存度は比較的低い。
「制度協定を強化し、地域の共同繁栄を促進するべきだ」。李氏は特に「ウィン・ウィン・ウィンを創造し、巨大な市場チャンスをもたらす」として、中日韓自由貿易協定(FTA)交渉を重視している。
三か国は2012年に中日韓FTA交渉の開始を宣言したが、様々な要因の影響で、交渉は難航してきた。今年8月の第9回中日韓外相会談は「三か国+X」協力に関するコンセプト・ペーパーを採択し、三か国協力の積極的な推進で合意した。
李氏は「現在の国際情勢の下、三か国協力が二国間関係や地政学による妨害を受けて立ち往生すべきではない」と指摘し、「三か国の協力枠組による対話の創造は、二国間関係の抱えている問題の解決に資する。三か国の協力体制を推進し続けることは共通利益にかない、北東アジア地域の安定と発展に恩恵を及ぼす」と強調した。
将来に関して李氏は「中日韓は具体的成果を生むことのできる協力プロジェクトをさらに多く実施する必要がある。例えば民生分野に恩恵が及ぶもの、民間交流の強化などだ。また、他の地域との協同協力も拡大するべきだ。三か国協力は容易な事ではないが、決して不可能ではない」と語った。(編集NA)
「人民網日本語版」2019年9月9日