日韓両政府が元徴用工問題を巡り、事態収拾に向けた合意案の検討に着手したことが分かった。複数の日韓関係筋が28日に明らかにした。これまでの協議で、韓国の政府と企業が経済協力名目の基金を創設し、日本企業も参加するとした案が浮上していた。共同通信が伝えた。
1965年の日韓請求権協定で賠償問題は解決済みだとする日本政府の立場を踏まえた考え方とみられる。元徴用工問題で日本の安倍晋三首相は24日、来日した韓国の李洛淵首相との会談で「問題解決へ外交当局間の意思疎通を続ける」と表明し、李氏も日韓協議に前向き姿勢を示している。ところが実質的な賠償を求める韓国と、賠償責任を認めない日本との間には依然として立場の隔たりがある。
消息筋によると、同基金の創設は28日までの協議で提案された。その内容は、元徴用工に賠償するのではなく、相互の経済発展を目的とする資金の準備だ。これは日本企業が問題は「解決済み」と主張する日本政府の立場と矛盾しない形で出資できるようにするためだ。
報道によると、日本政府は資金を提供しない。韓国は6月、日韓両国の企業が元徴用工訴訟の原告に対して賠償に相当する金額を支払うことを提案していたが、日本から拒否されていた。
合意案作成に向けた意見調整は、外務省の滝崎成樹アジア大洋州局長と、韓国外務省の金丁漢アジア太平洋局長が担う。両氏は16日にソウルで協議した。元徴用工訴訟で韓国最高裁が判決を下した後に差し押さえられた日本企業の資産が実際に売却される前に、双方が妥協できるかが現在の焦点となっている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年10月29日