中国の武漢市に端を発した新型肺炎の感染が拡大し、日本でも人から人への感染が出始めた。しかし国際社会はウイルスの脅威を正確に見据え、不安と恐怖が不信を生み出す事態を避けなければならない。日本経済新聞(電子版)が1日、矢野寿彦編集委員による次の記事を掲載した。
世界保健機関(WHO)は30日夜、緊急事態を宣言した。この新型の感染源は何か、感染力は、そして病原性は一体どのレベルなのか。疑問は尽きずにわからないことだらけだが、無理もない。新興感染症は未知であるからこそ、人びとに底知れぬ不安を与え、人類にとっての脅威となる。正しく恐れないと対策が後手後手に回り、社会の混乱を大きくするだけだ。
2003年のSARSと比べると、今回の対応は迅速だった。しかし今回の新型コロナウイルスの正体を突き止め、信頼に足る知識を手にするためには、まだ長い時間が必要かもしれない。
当面、世界は一致団結しウイルスを封じ込め、少しでも感染の広がりを食い止めるしかない。不安と恐怖が不信を生み、国際協力を乱す事態こそ避けなければならない。恐怖に負けない文明の胆力こそが今、求められている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2020年2月5日