変わらない「五輪への思い」
開催日程は変更になったが、開催国・日本の五輪に対する思いは依然として強く、アスリートが五輪に真剣に向き合う態度も変わらないし、世界の五輪に対する熱意も冷めていない。
日本が五輪開催に執着するのは理解できなくない。周知のとおり1964年東京五輪はアジアで初めて開催されたオリンピックだ。戦争の影を一掃し、自国民のプライドを高める意味でも、初めて世界との結びつきを味わったという意味でも、1964年の五輪は日本の命運を決めるターニングポイントになったと言っても過言ではない。
五輪に対する特別な思いから日本は2020年東京五輪に向けて膨大なエネルギーと資源を投じてきた。2016年リオ五輪の閉会式では、安倍晋三首相がゲームの人気キャラクター「マリオ」に扮して8分間のショーに登場したり、JOCが「ロボット計画」など高度なテクノロジーの活用を発表するなど日本は様々な箇所でその入念さをみせてきた。
JOCが発表した予算によると、2020年東京五輪は1兆3500億円の予算をつぎ込み、メイン会場となる国立競技場は1569億円かけて3年がかりで建設された。競技場周辺には約4万7000株の植物が植えられ、建築物には47都道府県の木材が使用された。
2019年から2021年に開業予定のホテルの客室数は、日本の主要9都市で8万室が増加する。近年東京の街頭を歩くと、路面を補修していたり建物の外観をお化粧直ししているのをよく見かける。五輪に合わせて、東京では新しい駅や新しいバス路線が開通したり、外国語での案内が増えたり、サービス面での努力も見られる。
計画は変化に追いつけないが、日本の主流世論、特にスポーツ界は今回のやむを得ない決定を支持している。サッカー男子日本代表の森保一監督は「人々の命と健康があってこそのオリンピック。延期になったとしても、大会までの一回一回の活動に最善を尽くすことに変わらない」とコメント。バレーボール女子日本代表の中田久美監督は「このたびの延期の決定を重く受け止め、東京2020大会が世界の平和へとつながるようにしたい」とコメントした。
国際社会や各国のアスリートの間でも理解を示す声が広がっている。国際卓球連盟(ITTF)は、五輪予選の大会や世界ランキングなど対応計画の検討を始めると同時に、IOCと密に連携して、スポーツ競技の角度から五輪延期の影響を分析するとしている。男子飛び込みのトーマス・デーリー選手(英国)は「夢のために1年待つことは人々の安全を守るために払う価値のある犠牲だ」とソーシャルメディアでコメント。「たしかに私は1歳年をとり、体もそれを感じるだろう。だが、その時が来たら、英国チームのために全力でやる」と続けた。
2020年東京五輪は延期されるが、中止ではない。五輪のスポーツスピリットは平和・健康・安全の代表であり、人類調和の最高の融合剤だ。延期となった五輪への期待はより膨らみ、IOCが声明でいうように「東京五輪が世界の困難な時を照らす希望の灯火となり、五輪の聖火がトンネルの出口を照らす光となるはずだ。感染が収束し、東京五輪が再起動するその時、よりいっそう輝きを増すと信じている」。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年3月26日