文=SMC中華圏営業本部総括責任補佐・吉岡憶
今年の春節も日本に一時帰国せず、たまった仕事を片付け大好きなカフェ巡りでもしようかと考えていたが、ここ上海でもいよいよコロナ禍が深刻になり始め、東京の本社から“一旦引上げ”指示が…。2月6日に浦東空港から日本の航空会社のフライトに乗り込む。驚いたことにその機内は、8割が中国の方々だった。成田空港では日本人と外国人のレーンに分けて入国審査をしている以外は目立ったチェックもなく、ほぼスルー状態で千葉の実家まで辿り着くことができた。当然ながら、ここから人生初の2週間隔離生活である。とはいえ、やはり自身は中国から帰国した身。空港でノーチェックだったとはいえ、実家の両親にも申し訳ないので、PCR検査を受け身の潔白を証明しようと、県と市の保健所に電話したが、症状が出てないからとの理由で受けることが出来ない。すでに日本国内でも感染者が目立ってきており、一抹の不安は感じつつも無事2週間の隔離を終了。
10日ほど日本で会社に出社したが、この頃から日中の状況が逆転し、中国への再渡航が厳しくなると予想されたので、3月6日に上海に戻ることを決意。この時期まだPCR全数検査は実施されていなかったが、とにかく機内では待たされた。体温チェックを経て降機。その後は係員との1対1の問診を経て、QRコードをDLし、各種書類にサインを求められた。
丸一日の移動を終え、なんとか自宅へ。さぁ、ここから人生&今年2度目の隔離である。ただやはり中国のそれは、日本の甘い隔離とは訳が違う。本当に一歩も外に出れず、1日2回の体温チェック、日々のゴミ出しは全てマンションの管理人が部屋まで来る。外卖の受け取りも同様だが、連絡が来るまではドアを開けてはいけない。やっと来たか、と思いつつドアをあけるとそこには完全に冷めきったマックがドアから1mの距離のところに、落し物のように置かれているのだ。
ただしかし、これこそが隔離生活というものなのだ。日本のときとは比べものにならない。その意味では、中国の社会体制のほうが、こうした緊急事態下の管理という点においては、軍配が上がるという事か。とはいえ、この徹底した取り組みが、中国国内ではコロナを早い段階で抑え込めた要因ではあろう。いずれにても世界中において一日も早く終息して欲しいと願うばかりである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年6月22日