韓国の金東起国連教育科学文化機関(ユネスコ)常駐代表はこのほど、「日本は『軍艦島』を含む明治日本の産業革命遺産を宣伝する際に歴史を歪曲し、世界遺産への登録を申請した当時の約束を守っていない」と批判した。韓国外交部(外務省)が明らかにしたところによると、韓国はユネスコに書簡を送り、この遺産を世界遺産リストから除外するよう呼びかけたという。新華社が伝えた。
韓国は「軍艦島」が明治日本の産業革命遺産として世界遺産に登録されたことにかねてより不満を抱いていた。第二次世界大戦中、朝鮮半島からこの島へ大勢の労働者が日本軍により強制的に連行され、虐待されたが、日本はこの歴史に触れようとしない。日本は登録申請時の事実に即して歴史の真実を明らかにするという約束を守らず、これが両国の間で新たな対立となり、元々順調でなかった日韓関係にさらなる打撃を与え、双方の矛盾は深まる一方だった。
暗さを増す影
アナリストは、「軍艦島の問題をめぐって再び勃発した『歴史論争』は元々食い違いが絶えなかった日韓関係の上に新たな影を落とした」との見方を示す。
今月初め、韓国政府は日本が韓国に対して実施する輸出制限措置を再び世界貿易機関(WTO)に提訴し、その理由として日本に話し合いによる貿易紛争解決の意思がないことを挙げた。日本の茂木敏充外相は同日、韓国政府の決定に「遺憾の意」を表明した。
韓国大法院(最高裁判所)が2018年10月と11月の2回にわたり、第二次世界大戦中に韓国から強制連行した元徴用工への賠償を日本企業に命じる判決を下した。19年7月、日本は韓国に輸出する半導体材料など3品目の審査・管理を厳格化すると発表。韓国はこれを日本の「経済的報復」とみている。韓国はその後、さまざまな対抗措置を取り、これにはWTOへの提訴も含まれるが、紛争解決プロセスは19年11月から停止している。
日本の韓国人元徴用工への賠償問題が解決せず、これによって引き起こされた日韓間の矛盾はますます拡大し、最終的に経済貿易分野に及んだ。現在、日韓の経済貿易摩擦は目に見える沈静化の兆しはなく、強制労働という歴史的問題をめぐる争いが再び活発になり、日韓間には今後も関連の問題をめぐってさらに多くの紛争が起こるとみられる。
日本のアナリストによると、徴用工の問題での対立が消失しなければ、日韓は「対決モデルに再び回帰する」可能性があるという。
韓国の世論は、「韓日両国には危機管理が必要であり、歴史問題が経済貿易分野に与えるマイナス影響を軽減しなければならない。両国は対話と協議、外交的努力を通じて、関係改善の出口を見つけ、矛盾のエスカレートや正面衝突をできる限り回避し、関係改善を促進するために契機を見つけるよう絶えず努力しなければならない」との見方を示す。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年7月1日