日本の日立製作所は昨年、「経済面の合理性」を考慮し、英国の原発建設を一時停止した。日立は16日、正式に同プロジェクトからの撤退を宣言した。
「日本のすべての原発輸出計画が水の泡となり、何ら成果を残さなかった」複数のメディアは、これは英国のゼロエミッションの野心、日本の原発輸出の方針にとって大きな痛手とした。
要因はコスト
日立は16日、昨年1月に凍結を宣言した英国の原発建設計画から撤退することを正式決定したと発表。今後は英政府及び関連企業と、原発建設に使用を予定していた土地の処置などについて調整するという。
AFP通信の16日の報道によると、北ウェールズ北部アングルシー島のウィルファ・ネーウィズ原発の総事業費は200億ポンドと見積もられていた。目標の生産能力は300万kWで、英国の電力消費量の約6%を賄えるはずだった。BBCの16日の報道によると、安全対策のコスト増により、総工費は当初の計画の1.5倍に膨れ上がった。英政府は一定の財政支援を提供したが、日立の懸念を払拭するには至らなかった。投資回収を前提とした電気料金などについても日立と英政府は一致せず、その他の民間企業からの出資も望みがなくなった。日立の関係者によると、英国のEU離脱に伴う混乱、新型コロナウイルスの感染拡大により、日立と英政府の協議が停滞していた。共同通信は、日立は今後のプロジェクトのリスクを受け入れられず、同計画の再開はありえないと伝えた。
AFP通信によると、英政府は「北ウェールズの人々にとってこれが非常に失望させられる情報であることを認識している」との声明を発表した。ところが英政府は、英国の「低炭素経済」へのモデル転換に伴い、「原子力は英国の未来のエネルギー構造において重要な力を発揮する」と称している。
英日のどちらにとっても痛手
ウェールズ事務委員会は、同原発の撤退は「ウェールズ及び英国が2050年にゼロエミッションを実現するという野心にとって痛手だ」と表明した。共同通信によると、日立の撤退は日本政府が経済成長の戦略的支柱として位置づけた、官民一体で推進してきた原発輸出が間もなく瓦解することを意味する。
東芝の米国における原発事業は1兆円以上の損失を生み、経営難に陥っている。三菱重工のトルコの原発計画も、安全対策のコスト増により頓挫している。今回の日立の英国撤退により、日本のすべての原発輸出計画が水の泡になり、何ら成果を残さなかった。
日本の梶山弘志経済産業大臣は15日の閣議後の記者会見で、「個別の企業に関する論評は控える」と述べたが、経済産業省の当局者は「輸出国が中国とロシアだけでもよいのか。発展途上国に需要があれば、引き続きチャンスを模索するべきだ」と述べた。新たに発足した菅内閣は原発輸出政策を引き続き支持する。
誰が事業を引き継ぐか?
日立の撤退は、誰が事業を引き継ぐかという憶測を読んでいる。15日付英紙「デイリー・テレグラフ」は報道の中で、婉曲的に中広核集団を取り上げた。「中広核は英ヒンクリーポイント原発の33%の株式を取得しており、別の2つの原発プロジェクトでも重要な力を発揮する」ロイター通信は昨年、日立がプロジェクトを一時停止した際に、中広核集団は日本のプロジェクト失敗による空白を埋めると伝えていた。
しかし英紙「サンデー・タイムズ」は6月、米国と中国の緊張のエスカレートにより、トランプ政権がウェールズの原発プロジェクトを中国に売却しないよう日立に圧力をかけていると報じた。報道によると、中広核集団は英国で一連の原子炉を作る計画の一環として、同原発プロジェクトの買収を希望しているという。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年9月17日