友好を「無限の資源」に 日中友好会館・新中国側代表理事黄星原氏にリモート取材

友好を「無限の資源」に 日中友好会館・新中国側代表理事黄星原氏にリモート取材。

タグ:友好

発信時間:2020-12-30 10:06:59 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 駐日中国大使館で12年間勤務し、その後、トリニダード・トバゴ大使とキプロス大使を歴任した黄星原氏はこのほど、日中友好会館の中国側代表理事に就任した。30年以上国の外交活動に携わった黄氏は、民間外交に転じる際、どのような新しい考えを持つのか。とりわけ今後、いかにパブリック・ディプロマシー(広報文化外交)を通して中日関係を前進させるのか。本誌の王衆一総編集長がリモート取材をした。

 

 

官から民で活躍

――駐キプロス中国大使の任を終え、日中友好会館の中国側代表理事を務められたと聞いて、うれしく思います。一国の大使から「民間大使」へという立場の変化をどのようにお考えですか。

 

黄星原 私は『人民中国』の忠実なファンです。また中日友好という理念の確固とした支持者でもあります。おっしゃる通り、今度は国の大使から民間大使になりますが、私はこの変化を楽しみにしていました。これまでは主に政府の外交に携わり、その間、パブリック・ディプロマシーも実践、推し進め、また中国の大手シンクタンク中国人民外交学会の事務局長として、シンクタンク交流の場の創設に取り組みました。

今回、民間外交に携わることで、自分の外交人生の幅がさらに広がります。民間外交は、異なる国の異なる文化的背景を持つ人々の交流を促進し、絆を深めることが主な任務です。これは、ほかの外交活動でも基本であり大本でもあります。中国の外交は、「人間本位、人民のための外交」を重要な任務としています。より多くの友人を作って民間の友好を深め、心の通い合いを促すことは外交の趣旨の一つでもあります。私は、そのような体験とチャンスを得られてうれしく思います。

 

――中南米のトリニダード・トバゴと欧州のキプロスでそれぞれ大使を務められました。これらの国の相違点と印象深かったことをお聞かせください。

 

 カリブ海の真珠と言われるトリニダード・トバゴと、欧州・アジア・アフリカの接点であるキプロスで大使を務めました。この二つの国は日本と同じ島国であり、美しく豊かな国です。

四方を海に囲まれているため、これらの国は開放性と寛容性という共通点を持ちながら、共に気候変動の課題を抱え、貿易と安全な環境を必要としています。独特な地理的環境の下、島国は人類運命共同体の理念の直接的な受益国であり、また多国間主義と気候変動の利益に関わる国です。

トリニダード・トバゴ大使の時、日本とトリニダード・トバゴが初のハイレベル相互訪問を実現しました。当時の安倍首相が現地を訪れた際、歓迎晩餐会で私のことに気づき、温かい言葉をかけていただきました。またキプロス大使の時、日本は首都のニコシアに大使館を設置しましたが、日本の大使公邸が中国大使館の隣にありました。これが「有縁千里来相会」(縁があれば、どんなに離れた相手とも会える」というものでしょう。

 

複雑な変化 共に乗り越えよう

――外交官として中日関係の浮き沈みを経験し、また、かつて両国関係について、「風雨同舟」(困難を共に乗り越える)と「風雨飄揺」(風雨の中で揺れ動く)という言葉で表現されたこともあります。今の中日関係の変化をどのように見ていますか。

 

 変化が多いです。まずは国際情勢に複雑な変化が生じました。過去100年間になかったというほどの大変動の中で、安定と動揺が共存し、大国の駆け引きが激化したり緩和したりして、突発的な感染症の危機が世界に広がり、平和と発展の課題が再び浮き彫りになりました。

次いで、中国と中日関係には大きな変化がありました。中国の平和的発展と社会の進歩は、自国を変えただけでなく世界にも影響を与えています。中日関係は紆余曲折を経て進み、発展の中でレベルアップしています。

私が「風雨同舟」と中日関係を表現したのは、中国と日本が利害を共にする隣国であり、困難を共に乗り越えるパートナー、東方文明を受け継ぎ広める国、人類運命共同体の擁護者であるからです。戦争の教訓は、両国が平和でなければならないことを教えてくれました。発展の利益によって結ばれた絆は、私たちが協力しなければならないことを求めています。地震や津波などの自然災害に対して、私たちはわが身のように感じ、互いに支え合いました。新型コロナウイルスの感染症対策は、私たちを再び結び付けました。

「山川異域 風月同天、同舟共済 守望相助」(山川は異なるが風月は同じ天の下、互いに力を合わせて困難を乗り越え、互いを見守り助け合う)は、すでに両国民の理念となっています。情勢の不安定を示すことを「風雨飄揺」と言いますが、中日関係という船は前途にまだ多くの困難に遭遇するでしょう。暗礁や危険な浅瀬があれば避けて通り、大きな波風に一緒に立ち向かわなければなりません。両国関係が成熟へと向かう道のりは、まだ多くの困難や障害があります。自然災害を防ぐとともに人災の防止に重点的に取り組み、特に外部からの妨害を防止する必要があります。

 

高い視点と広い視野で貢献

――日中友好7団体のうち、日中友好会館は唯一、中日両国が連携して運営する団体です。今回「民間大使」として日本に再び戻られますが、相互交流をどのように促していこうとお考えですか。

 日本を離れてもう15年になりました。学ぶべきこと、再認識すべきことがたくさんあります。日中友好会館は二国間の交流に携わる友好団体です。私たちの仕事は先輩たちの指導、両国政府の支援と両国民の支持、そしてチームワークを必要としています。できるだけ早く仕事を把握し職場に溶け込むとともに、中国側代表としての職責を果たし、この中日共同事業の持続的発展を促します。

いわゆるインタラクション(相互作用)を強化するには、まず両国政府の友好政策の実行と具体化をサポートします。青少年交流や植林活動などが、その中に含まれています。次に、文化の学び合いや教育交流の価値と潜在力を掘り起こし、従来の文化交流事業をより優れたものにつくり上げ、また新たに独創的な事業をつくり出します。両国資産を運営管理する責任者の一人として、会館に属する有形無形の資産を、多方面の力を結集する無限の資源に変えたいのです。

 

――世論調査によると、日本人の中国への好感度は近年低い水準にあります。これをどのように見ていますか。新たな持ち場で、現状の改善を推進するために、具体的にどのような考えをお持ちですか。

 

 好感度は社会全体の政治経済の状況や、その時の情勢の影響を受けます。政府の政策と世論誘導の関係もあれば、人々の相互理解と認識とも関係があります。この現状を改善するには、双方が歩み寄り、多方面で共に取り組む必要があります。これについては、慎重でありつつも楽観視しています。理由として、中日政府は両国関係を大変重視し、両国民は相手をより客観的に見るようになり、双方はより冷静な見地から危機を管理・コントロールし、互いの利益の譲れない一線をよりはっきりと認識していることが挙げられます。

国家間の関係を扱うには、豊かな知恵と高い視点、広い視野が必要であると思っています。「呉越同舟」と人類運命共同体には同じ意味が込められています。100年の間に2度の世界大戦と3度の世界危機(1970年代の石油危機、2008年の世界金融危機、今年の新型コロナ危機)から、人類は同じ教訓を得ています。ですから、中日友好はアジアにとって喜ばしいだけでなく、世界にも大きな恵みをもたらすと確信しています。 


 「人民中国日本語版」2020年12月30日

TwitterFacebookを加えれば、チャイナネットと交流することができます。
中国網アプリをダウンロード

日本人フルタイムスタッフ募集    中国人編集者募集
「中国網日本語版(チャイナネット)」の記事の無断転用を禁じます。問い合わせはzy@china.org.cnまで