中国人の日本への好感度が近年上昇を続けているが、日本の中国への好感度は過去最低まで落ち込んでいる。中日両国民のこの感情のコントラストについて、日本の垂秀夫・新中国大使は中国メディアのインタビューに応じた際に、「この現状に至った原因、またこの局面をいかに打開するかについては、中国側にしっかり検討してもらいたい。当然ながら我々も中国側と共に思考し、必要であれば参考意見を出したい」と述べた。
日本の大使が日本政府の立場から発言することは完全に理解でき、このような発言も中国で暴言扱いされることはない。しかし両国民の感情のコントラストが生じた真の原因については客観的な分析が必要だ。
中国人の日本への好感度は近年確かに上がっているが、これは日本による観光政策の開放と強く関わっている。多くの中国人がその目で日本を見る機会を手にし、日本の環境及び人文に好印象を持っている。中国メディアも積極的に報道し、戦後日本を客観的に紹介している。特に今年のコロナ禍、「山川異域、風月同天」に関する報道が多くの中国人を感動させた。人々は両国関係改善、未来の展望の曙光を目にしたようだった。
ところが日本メディアの中国に関する報道はそれほど友好的ではない。日本メディアの話題は近年、多くが「中国脅威論」及び価値観に基づく偏見ばかりで、台頭する中国が日本の「民主」と「自由」及び国家安全の脅威になったかのようだ。そこで日本人は「自由で開けたインド太平洋」「アジア版NATO」を持て囃しているが、まるで「民主国家」が団結してけん制しなければ世界が中国の「覇権」に支配されるかのようだ。
「中国脅威論」を宣伝する格好の材料は釣魚島問題だ。この問題に関する日本の基本的な立場は、「同島は歴史的にも国際法的にも日本領であり、中日両国間に解決すべき領土問題も係争を棚上げにする共通認識もなく、中国公船による巡航は日本への領海侵犯だ」というフレーズでまとめることができる。日本メディアがこれを長々と宣伝することで、このフレーズが日本人の心に深く根ざしている。中国の歴史的・国際法的な根拠は完全に否定されている。
日本側の一部の人物は、現在の中国は「外交の苦境」に陥っており、日本を頼りにしていると判断しており、メディアを操作し中国に譲歩を強いようとし、基本的な事実と根拠を無視している。これは1874年5月2日に西郷従道が台湾侵略後に清朝と交渉し、清朝が台湾の後山を統治したことがないと言い張ったことを想起させる。清政府は日本に戸部の十数通の文書と台湾税収簿記を提供したが、日本の代表者は「目を通す時間がない」と回答し、かつ台湾に所有者がいないと言い張った。これは日本の現在の釣魚島問題における態度と驚くほど一致する。
中国の王毅・国務委員兼外交部長が先ほど訪日した。双方は5つの重要共通認識を形成し、6つの具体的な成果を手にした。また中国側の釣魚島問題への立場についても触れたが、日本メディアは会談の成果を報じず、いわゆる「暴言」を大げさに誇張した。これは中日が1878年に琉球問題について交渉した際に、交渉の代表者であった何如璋が日本が琉球を併呑したと批判すると、当時の日本メディアによって「暴言事件」と形容されたことを想起させる。
釣魚島の面積は4平方キロメートル前後に過ぎない。中日両国は地域の平和と繁栄の大局を立脚点とし、領土問題と理性的に向き合い、危機を効果的に管理するべきだ。本件を利用し逆ねじを食らわせ、中国へのヘイトを煽るべきではない。(筆者・廉徳瑰 上海外国語大学日本研究センター主任)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年12月30日