長年にわたる努力により、中日関係はここ数年で正常な軌道に戻ったように見える。これは、長年にわたって中日友好に尽くしてきたわれわれにとって喜ぶべきことだ。双方はこうした得難い局面を大切にし、共に将来の関係発展を図るべきだ。中日関係は長年、敏感で不確定、不安定という特徴を示してきた。正常な軌道に戻ったのは実に容易ではなく、いっそう大事にすべきである。
第13期全国政協外事委員会副主任、外交・国際関係シンクタンク察哈爾学会会長 韓方明=文
新しい段階では、広報文化外交を強化し中日友好を推し進めるべきだと私は考える。
まず、節目となる時点で、鍵となる協力の実現によって、広報文化外交を推し進めるべきだ。今年の夏は東京オリンピックの開催が予定されている。来年は北京冬季オリンピックが開かれる年であり、また中日国交正常化50周年でもある。この期間、両国のスポーツと人的・文化交流は、多くの点で協力を検討できる。
国交正常化後50年にわたる中日関係は、中国の経済・社会の発展と現代化建設を見守ってきており、総括し記念すべき多くの点がある。中日両国が2年続いてオリンピックを開催するというのは、これまでなかったことだ。東京五輪と北京冬季五輪の開催は、実質的にはわずか半年の時間差で、二つの五輪はその「距離」がぐんと近づいた。重要な歴史的な節目は、中日の広報文化外交の推進に大きな歴史的きっかけを提供した。いま計画中の、または計画を予定している一連の活動は、中日関係史に深く刻まれることと私は信じている。
次に、積極的な民間交流を通して広報文化外交を推進する。突然襲ってきた新型コロナウイルス感染症のまん延により、中日両国の経済・社会は深刻な影響を受けた。両国の人々は互いに見守り助け合い、「山川異域 風月同天」という感動的なシーンが眼前に繰り広げられた。「苦難にありて真の友を知る」と言われるように、災難はしばしば中日両国の距離を近づけた。
松山バレエ団は昨年2月18日、東京タワー内でチャリティー公演を行い、中国の感染症との闘いを支援した(写真・于文/人民中国)
2008年の四川・汶川大地震、11年の東日本大地震、そして今回の新型コロナのまん延と、災害を前に中日各界の全ての人々が相手に積極的で温かな態度を示し、心の中の硬い氷を溶かした。中日の感染症対策の協力では、非政府組織の働きが大きく注目された。友好都市を例に取ると、名古屋市は南京市との交流活動を中断しているが、それでも「困っている友人を助けるのは当然」と、南京にマスク10万枚を贈った。中日間には250組余りの友好都市があるが、こうした都市間での防疫活動での協力は、まさに都市による広報文化外交の生きた実践だ。
最後に、われわれはシンクタンクやメディアを通して広報文化外交を積極的に展開し、より客観的・全面的な情報と観点を発信すべきだ。中日の広報文化外交は、民によって官を促し、経済によって政治を促し、貿易が先行した三つの時期を経験したと私は考えている。それぞれの歴史的な時期において、映画・テレビ作品やニュース報道、人の往来、シンクタンクの交流などが中日関係に大きな影響を与え、広報文化外交の役割を発揮してきた。
現在、中日の広報文化外交はいくつかの新たな問題に直面している。例えば中国の世論では、日本に対するプラスの評価に比べマイナスの評価が上回っている。逆に言えば、日本の世論における対中姿勢にも似た面がある。ソーシャルメディアを通じて双方を引き離す見方が広がっており、その影響は大きい。総合的に見ると、現在の中日両国民の相手国に対する好感度は楽観視できない。両国の国民感情にはギャップが生じている。日本国民の対中好感度と中国国民の対日好感度は非常に対照的で、われわれはこれを重く見て深く考えるべきである。シンクタンクやメディアの役割を一層発揮し、相手国をもっと積極的・客観的・全面的に紹介すべきだ。
現在の国際情勢は複雑に変化し、世界はここ百年来なかった大変動に直面している。さらに感染症のまん延が重なり、国際情勢の複雑さと不確実さはこれまでになく高まっている。中日両国は、アジアひいては全世界に大きな影響力を与える大国として、また引っ越すことのできない隣国同士として、広報文化外交を強化し中日友好を推進すべきで、中日友好を大きな樹に育て、さらにうっそうと木が茂る森林へと育て、両国民の友好を子々孫々受け継いでいこう。
人民中国インターネット版 2021年2月26日