恐慌を引き起こす汚染水、何が恐ろしいのか?
グリーンピースが昨年10月に発表した報告書によると、福島原発の汚染水には大量のトリチウムと炭素14が含まれ、人類全体が浴びる放射線量が大幅に増加し、人類のDNAが損なわれる潜在的な危険性がある。グリーンピースの核問題シニア・ スペシャリストのショーン・バーニー氏によると、汚染水に含まれる有害元素とその他の放射性核廃棄物は数千年に渡り環境に危害をもたらす。
またこれらの放射性物質は海洋沈積物に浸透し、海洋生物に吸収されやすい。人類に対して潜在的な毒性を持つほか、より長期的かつより複雑な形で海洋環境に影響を及ぼす。
多くの命が身を寄せる太平洋を前にし、日本側のいわゆる「人体に無害」という説はこの上なく薄っぺらく見える。
ロシア科学アカデミー極東支部太平洋海洋研究所実験室首席科学研究員、生物学博士のウラジミール・ラコフ氏は「各基準には十分な根拠がない。いわゆる濃度が基準という人がいるが、それは別の人にとってはその他の指標だ。生物は皆同じではない。これは人の基準を満たすかもしれないが、タコにとってはどうだろうか。そうでないことは明らかだ。またクジラの場合、非常に少ない量でも死に至る。数百万種の海洋生物の基準はまだ作られていない」と指摘した。
またラコフ氏は、これらの汚染水は浄化されても海洋に放出されれば、放射性同位体が魚を含む海洋生物の体内に留まり、人の体内に蓄積されると述べた。
広々とした海洋は確かに放射性物質の濃度を薄めるが、大量かつ半減期の長い各種放射性物質を世界の水循環システムに放出した先例は人類史上にない。多くの科学者と環境保護団体は、汚染水が大量で既存の技術が限定的であることから、排出される汚染水が海洋環境及び人類の安全にどのような潜在的な害をもたらすかについては完全に予測できないとしている。
これほど深刻な問題を前にし、西側諸国及びそのメディアは沈黙している。世界の自然環境を損ね、人類を含む多くの生物に深い害をもたらす行為について、「人権」や「環境保護」の問題の喧伝を好む西側メディアは集団で意図的に無視しているが、これはいっそう皮肉なことだ。
1956年に国連に加盟してから現在まで、日本は常に自国を「責任ある大国」として位置づけてきたが、今や自国の放射性物質を含む汚染水を太平洋に垂れ流し、周辺諸国及び国際社会の公共の福祉と利益を損ねようとしている。自国のミスにより生じた壊滅的な結果を海に押し付けるのは極めて無責任であり、極めて短絡的な行為だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年4月13日