まず、政治面と安全面で米国と足並みを揃える。米国が台湾海峡問題により深く介入するなか、日本は台湾海峡情勢への注目を再三強調し、米国と協力し台湾海峡の安定を守る立場を示すことで、米日同盟をさらに強化し、米国の力を借り中国の台頭が日本に及ぼす衝撃と影響を和らげることができる。
次に、地域の重大問題をめぐる菅氏の決断力を示すことで、国民の間で力強い首相のイメージを樹立し、支持率を高めることができる。
それから、中日の紛争を顧みず国内の視線をそらすことで、直面している国内の圧力をある程度弱めることができる。「朝日新聞」の情報によると、菅氏は東京五輪後に衆院解散に踏み切る可能性がある。これは国内外で苦しい情勢に直面する菅氏のやむなき措置でもある。
菅氏の台湾地区問題をめぐる一連の動きは、安倍政権後半に回復の兆しを見せた中日関係の熱を下げ、さらには再び氷点まで冷え込ませる可能性が極めて高い。台湾地区問題は中国の領土主権の核心的利益に関わり、原則的な問題に関しては中国にはいかなる妥協の余地もない。菅氏は台湾地区問題で中国のレッドラインに触れているが、これは国家統一を守り実現する中国人民の自信と決意への判断を誤っており、日本側のこの措置により生じうる中日関係の急落による結果への冷静な判断が欠けている。この非理性的な政治の賭けが、菅氏が期待する結果をもたらすことはない。(筆者・楊丹志中国社会科学院国際問題専門家)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2021年6月16日