東京五輪の2つの変数、すなわち1つは「開催するかどうか」、もう1つは「観客数を制限するかどうか」は、五輪が現地に及ぼす経済効果を大きく左右する。海外からの観客が「欠席」なら、日本にとっては大きな損失になる。5月末に日本の野村総合研究所の木内登英エコノミストは、東京五輪を中止した場合の経済損失を分析・計算した。それによると、海外からの観客受け入れを停止したことで1500億円の経済損失が生じるが、海外でキャンセルになったチケット60万枚を日本国内の観客に販売することは可能だった。しかし日本国内の観客を半分に制限すれば、経済損失は約734億円になり、無観客なら損失は約1468億円になると試算した。
無観客かどうかは、スポンサーの会場での広告投入計画に直接影響を与える。海外メディアの報道によると、キヤノン、東京海上日動火災保険を含むスポンサー企業10数社は主催者側の「一時的な決定」や「観客を入れるかどうか」の問題がいつまでも決着しないことに失望し、東京五輪関連の展示ブースやPR活動を中止したり縮小したりしている。
五輪との関わりが人々に嫌われるのではないかと懸念する企業もある。世論調査では、日本人の多くが五輪の開催に反対だ。またこうした企業は、各社の経営陣が五輪競技のテレビ中継に映れば、マイナスの宣伝効果になってしまうのではないかと懸念する。
米週刊誌「タイム」はかつて、2020年東京五輪は250億ドル(約2兆7535億円)の支出になると伝えていた。一方で、東京組織委の会計担当者の試算では、最終的な支出は予算の3倍を超える。これまでに投入された巨額の資金は、五輪で派生する観光収入や経済効果で回収するしかなく、それが出来なければ元手が無に帰してしまう。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年7月12日