日本の衆院選は今月31日に投票を迎える。岸田文雄首相は国民に「生まれ変わった」自由民主党を見せると約束した。しかし今回の選挙には多くの新しい顔ぶれが見えるが、どこか聞いたことのある名前ばかりだ。彼らは日本の政治家の家庭出身で、「政治の王朝」の存続を目指している。
【子が父の跡継ぎに】
共同通信の27日の報道によると、山口晋氏(38)はその前日、東京に近い埼玉県で選挙活動を開始した。父の山口泰明氏(72)は自民党の重鎮で、元選挙対策委員長だ。
山口晋氏は選挙演説で、「私は父の政策の原則を引き継ぐ。地域の発展なくして国の発展はない」と述べた。自民党のベテラン参院議員がこの新人を応援し、現地の市民に対して山口泰明氏の「功績」を忘れず、その息子を支持するよう呼びかけている。
別のベテラン議員で元内閣官房長官の潮崎恭久氏(70)も今回の衆院選への出馬を見送り、弁護士の息子に愛媛県から出馬させている。その他の自民党の「老人」のうち、元国会対策委員長の川崎二郎氏(73)、元内閣官房長官の河村建夫氏も引退し、息子に跡を継がせる。
家業を継ぐ世襲議員を育て、その中から首相が選ばれる。これは日本の政界の大きな特色だ。「世襲政治」は日本特有のものではないが、日本の国会議員による「世襲」の割合は他国を上回る。
共同通信の報道によると、今回の衆院選の自民党の立候補者は336人で、うち31%(104人)の家庭が政治的なバックを持つ(父もしくは祖父が元国会議員など)。最大野党の立憲民主党のこの割合は12.1%。
【変えがたい古い伝統】
東京大学の内山融教授(政治学)は、自民党の世襲が深刻なのは、政治の名門出身の若者が選挙に勝つための3つのメリット、必要条件を持つからと見ている。これはつまり地盤(有権者の支持基盤)、人気、資金のことだ。
内山氏は、「当選には人脈と財力の両方が必要だ。それがなければ、学識や考えがあったとしても、政界で地位を固められる可能性は低い」と述べた。
自民党は党則を改正し、政治的なバックを持つ立候補者の支持に対して厳しい基準を設けようとしてきた。昨年11月に時の自民党総裁・首相の菅義偉氏は、自民党は世襲政治を制限するべきだと述べた。
ところが後任の岸田氏が今月4日に発足した新内閣には、多くの政治家の家族が含まれた。例えば鈴木俊一氏(68)が麻生太郎氏に代わり財務大臣に就任したが、その父の鈴木善幸は元首相だ。岸田氏本人も日本の過去の多くの首相と同じく、政治家の家庭から出ている。
立憲民主党は世襲政治をはっきり否定していない。枝野幸男代表は今年6月、単純に世襲政治を悪いこととすべきではないと述べた。元国家戦略担当・経済財政政策担当・消費者及び食品安全担当の荒井聰氏の息子は北海道から衆院選に出馬する。
日本の有権者は世襲政治に対して賛否両論だ。埼玉県の自民党支持者は、自民党のベテラン議員が勇退し息子に道を譲ることを称賛し、知らない人よりもその議員の次の世代の方が信頼できると述べた。ある有権者(74)は、「日本の政治家は国の政治を家族のビジネスにしているようだ」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年10月28日