右顧左眄する日本、方向を見失うな

右顧左眄する日本、方向を見失うな。日本の対中経済・貿易への依存度はすでに対米をはるかに上回っている。中国経済が風邪を引けば日本経済が発熱するとも言える…

タグ:合同演習 貿易 駆け引き 産業

発信時間:2021-12-03 14:35:39 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 日本が主催する合同演習「ANNUALEX 2021」が11月30日に閉幕した。日本、米国、豪州、カナダ、ドイツの5カ国が空母などの各種艦艇(計34隻)を派遣。稀に見る規模で、しかも演習エリアがフィリピン海で、どこに矛先が向けられたかは明らかだ。(筆者・劉慶彬横浜国立大学客員教授)


 現在の日本の対外的な姿勢を形容する最も適切な言葉は「右顧左眄」だ。日本から南向きで見ると、左は遠洋を隔てた米国、右は一衣帯水の中国だ。日本政府は岸田文雄首相の年内訪米の準備を急ぎ、中国を念頭に置く「自由で開けたインド太平洋」の構想を掲げている。その一方で岸田政権は経済面で緊密なつながりを持つ中国との安定的な関係の維持を願っている。


 経済・貿易を見ると、日本の2019年の貿易額は156兆円で、うち対中貿易は33兆円、対米貿易は24兆円と大幅な開きがある。日本の対中経済・貿易への依存度はすでに対米をはるかに上回っている。中国経済が風邪を引けば日本経済が発熱するとも言える。これを認識したため、安倍前政権は長年に渡り試みた「対中経済デカップリング」政策を断念し、中米貿易戦争とトランプ氏の「米国ファースト」を背景に「新時代の日中関係の3原則」を掲げた。競争を協調とし、脅威ではなく協力パートナーになり、自由で公平な貿易を促進した。


 新型コロナウイルスの流行により、自民党の二階俊博前幹事長が取り組んでいた中日の5つ目の政治文書が遅れた。二階氏にとっては、中日関係の「春」も遅れた。新型コロナウイルスの感染対策に本腰を入れられず持病で急きょ辞任した安倍氏、五輪閉会後に静かに退任した菅義偉氏と移り変わり、日本の態度はますます米国一辺倒になってきたようだ。


 現職の岸田文雄首相は組閣中に保守派の代表格である岸信夫氏を留めた。この安倍氏の弟は左の米国を見ているが、任命前から「知中派」というレッテルを貼られていた林芳正外相は右の中国を見ている。岸田氏はいわゆる「日本には日本の立場」と述べているが、「日本の立場」とはいったい何か。タカ派からすれば防衛力を強化し、日本が中国や米国と駆け引きをする能力を拡大することだ。ハト派からすれば一辺倒ではなく上手く立ち回り、外交による調整の余地を広げることだ。


 岸田氏はまた、国内の安全保障戦略の調整にも直面している。米国の影響を受ける日本の戦略界が求める「防衛予算拡大」の要求も最終的に満たされる。日本国内の防衛産業は間もなく米国の軍産複合体の下請け業者に、つまり日本国内の産業のうち数少ない成長産業になるだろう。しかし成長と同時に必然的に民間業界の生産能力を圧迫し、日本国内の産業の国際的な競争力をさらに低下させる。


 元京都大学経済研究所長、著名な経済学者の佐和隆光氏は今世紀初頭に「中華経済圏」の繁栄を予言し、かつ日本は将来的に「東洋のスイス」になる可能性が高いと注意を促した。しかしその後の日本は小泉純一郎氏の「新自由主義改革」を開始し、佐和氏が描いたロードマップと真逆になった。日本経済はずっと下り坂を歩んでいる。


 岸田氏は就任後、「新自由主義との決別」を何度も強調しているが、その経済政策が縛りを受けず、国内産業のバランスの取れた発展にも配慮することを願う。また岸田氏の「新資本主義」が戦前の「戦争資本主義」に戻らないことを願う。アベノミクスと安倍氏の歴史修正主義の影響を受け、米国の軍需産業に従属しようとする「戦争資本主義」思想がすでに蘇ろうとしており、今後の日本の平和に暗い影を落としていることに注意が必要だ。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年12月3日

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