2022年を振り返る 歴史の節目を迎えた中日関係はどこに向かうか

中国網日本語版  |  2022-12-26

2022年を振り返る 歴史の節目を迎えた中日関係はどこに向かうか。

タグ:中日関係 歴史節目 軍事費 経済 投資 

発信時間:2022-12-26 15:24:14 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

文=張玉来 南開大学世界近現代史研究センター教授、日本研究院副院長


 今年は中日国交正常化50周年だ。双方の指導者が9月29日に通話し、祝意を表したが、双方は盛大な紀念活動を催していない。歴史の節目を迎えた中日関係は事実上、深刻な試練を迎えている。

 

 まず、「安倍問題」が好転中の中日関係に衝撃を及ぼした。長期政権運営を実現した安倍晋三氏は首相在任中、中日関係の改善に積極的に取り組む姿勢を示した。ところが健康上の理由により辞任した後の2021年12月に、唐突にいわゆる「台湾有事説」を掲げた。これほど重要な政治家が自ら台湾問題を喧伝したことで、中日関係が再び深刻な衝撃を受けた。

 

 次に、中日は領土係争をめぐり持続的に対立の姿勢を示している。日本側は今年に入り、釣魚島問題について中国側に何度も抗議を出している。日本側の統計によると、中国海警船は近年、釣魚島から12カイリ内の「接続水域」に330日以上進入している。日本側が中国側の常態化巡航を受け入れがたいことが分かる。

 

 当然ながら歴史問題は依然として中日関係の「火種」だ。日本の閣僚もしくは国会議員による靖国参拝は中日関係を冷え込ませる。

 

 上述した3つの「古い問題」の他に、中日の間では今年さらに新たな問題が生じた。例えば人権問題だ。対中問題について、日本も米国に追随しいわゆる人権カードを切り始めた。日本の衆議院は2月1日、中国に関する奇妙奇天烈な決議を採択した。決議は、中国の人権状況を国際社会と共に観測するよう主張した。これは北京冬季五輪の開会からわずか数日前だった。参議院も12月5日に新疆・チベット・内モンゴル・香港などの人権侵害に関する決議案を採択した。

 

 日本が中国を直接「仮想敵国」とし軍事費を大幅に増やすやり方は、中日関係に人権カードよりも大きな衝撃を及ぼす。日本は今月16日に安保3文書(「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」)を閣議決定した。中国脅威論を背景とし、日本はその軍事戦略の重大なモデル転換を促そうとしているが、これには主に次の大きな特徴がある。(1)戦後長期的に守ってきた専守防衛を放棄し、先制攻撃に転向する。(2)防衛費を大幅に増やし、1%という対GDP比の制限を打破し、2027年までに2%に増やす。日本の軍事費をロシアを抜く世界3位にする。

 

 しかも中日関係の「バラスト」とされてきた中日の経済関係も最近、日本政府によるいわゆる「経済安保戦略」の影響を受けている。「経済安全保障推進法」が5月11日、参議院で可決された。同法は日本のサプライチェーンとインフラの安全保護、先端技術の研究、特許の保護などの4大内容を含み、その目的も中国への備えと見られている。日本政府は12月20日に半導体や蓄電池などの11種の製品を「特定重要物資」とし、中国への依存から脱却すると明言した。これが企業の投資に「指揮棒」の効果を発揮することは間違いない。日本の調査会社・帝国データバンクの調査もこれを裏付けている。今年6月現在の在中国日本企業は1万2706社で、2012年(1万4394社)より1600社超減少している。その理由を見ると、中米の競争の影響による撤退や、日本政府の「サプライチェーン」補助金による撤退(自動車及び半導体関連業界)もある。

 

 ところが実際には日本が経済面で中国から脱却することは困難だ。早稲田大学の戸堂康之教授が日本のスパコン「富岳」を使った計算結果によると、中国から輸入する部品の8割の供給が2カ月途絶えた場合、日本のGDP約10%(約53兆円)分の生産額が失われることになる。またサプライチェーン研究会社のOwlsConsultingGroupの分析によると、中国から輸入する家電や自動車などの80種の主要製品を国内生産もしくはその他の地域からの調達に切り替えた場合、生産コストが毎年13兆7000億円増加する。これは東証プライム上場の日本製造業企業全体の純利益の7割に相当する。さらに重要なことは、すでに「貿易立国」から「投資立国」に転向した日本の海外投資収益はすでに国際収支黒字の重要な支柱になっているが、対中投資がその収益が最大の市場であることだ。日本貿易振興機構(ジェトロ)の分析によると、日本の2015年以降の対中直接投資の収益率は12%超で、2017年以降は15%超と対米直接投資の3倍になっている。

 

 この大きな利益が現在も重要な力を発揮していることは間違いない。新型コロナウイルス流行後、日本の対中直接投資は依然として安定した流れを維持している(図)。日本側の統計データによると、日本の2020年第1四半期の対中投資額は29億ドルで、第2四半期には31億ドルにのぼり、通年で110億ドルを超えた。日本の2021年の対中投資はさらに120億ドルを超え、今年第1-3四半期も70億ドルを超えた。また「日本経済新聞」の調査によると、日本企業の過半数が中国からの調達を減らそうとしているが、移転の非常に大きなコストが課題となっている。

 

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図 新型コロナ発生後の日本の主要市場への直接投資額の推移(四半期ベース)(単位:100万ドル)

             資料:ジェトロ

 

 「建設的で安定的な日中関係を築く」これは岸田政権が常に強調する対中政策の中核だ。岸田首相はバンコクでの中日首脳会談でも、「日本の発展と繁栄は中国が不可欠で、その逆もそうだ」と率直に述べた。現在の中日両国が政治の相互信頼を促進し、経済の互恵を持続的に促進し、新時代の要求に合致する中日関係を構築することが、両国の確かで長期的な利益により合致することは間違いない。


 「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年12月26日

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