日本のNHKは23日、「岸田文雄首相はロシアが昨年2月にウクライナへの特別軍事行動を発動してからウクライナを訪問したことのない唯一のG7首脳だ。政府当局者は、岸田氏がウクライナ大統領から招待を受けていることから、そのキーウ訪問に向け働きかけている」と伝えた。
日本メディアは23日、岸田氏本人も焦っており、絶えず周囲に「日本の誠意が試されている。必ず行かなければ」と漏らしていると伝えた。
なぜ行かなければならないのか
しかし日本メディアの間でもこれを疑問視する声がある。米誌「ザ・ディプロマット」(電子版)は23日、岸田氏がウクライナを訪問すれば日本は明確にウクライナ側に立つことになり、ロシアとの関係がさらに疎遠になり、かつ安倍晋三氏によるロシアとの和解の手段がとっくに失われたという事実を強調することになると伝えた。しかしエネルギー価格の高騰と核戦争の潜在的な脅威を意識するに伴い、日本人のウクライナ支援への見方が変化することは間違いない。これは岸田氏がウクライナ訪問をためらう理由の一つかもしれない。首相官邸の関係者は「朝日新聞」に、「ウクライナ現地で実情をその目で見るかで説得力が大きく変わってくる」と漏らした。G7広島サミットで日本の首相が唯一キーウを訪問したことのない首脳になれば、「日本の誠意が疑われるかもしれない」(首相周辺)というのだ。
訪問の「2つの壁」
日本メディアは23日、安全保障問題が岸田氏のウクライナ訪問の最大の障害との見方を示した。
NHK(電子版)は23日、岸田氏のキーウ訪問には「2つの壁」が立ちはだかると伝えた。まずは現地の安全確保だ。ウクライナ上空にはミサイルやドローンが飛び交うため、岸田氏が飛行機で入ることは難しい。訪問するならばバイデン氏と同様、隣国のポーランドから陸路でのウクライナ入りが想定されるが、防衛省は「日本の自衛隊は海外で警護を提供できないため、首相の安全保障は米軍の力を借りなければならなず、完全な防護は保証できない」とした。
もう一つの壁は、首相と国会の関係だ。法律や規則に定めはないが慣例として、国会開会中の海外出張は、衆参両院の議院運営委員会の理事会で官房副長官が日程などを説明し、了承を得ることが必要とされている。この慣例には情報漏えいのリスクがある。
日本メディアによると、首相が国会に告げず海外を訪問した先例はない。しかし国会関係者は、首相はまずウクライナの隣国を訪問し、現地で「臨時の計画」としてウクライナを電撃訪問できるとした。これは「やむを得ない手段」になるという。
国民から疑問視
日本のSNSでは、岸田氏がキエフを訪問するか、どのように訪問するかが大きな話題になっている。あるネットユーザーは23日、「岸田氏が安全を懸念するならば、シベリア鉄道を利用してはどうか」とコメントした。別のネットユーザーは、「岸田氏がウクライナを訪問して何の役に立つのか。訪問すればバイデン氏やショルツ氏と同じ地位になれるというのか。ゼレンスキー氏にもてなす暇はないはずだ。ただアピールしたいだけならば行かないほうがいい」と疑問を呈した。
日本の市民が23日、戦争反対のデモ行進を行った。人々は「戦争反対! 兵器を送るな! 参戦するな!」と書かれた横断幕を掲げ、日本の衝突への介入に反対した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年2月24日