戦後日本の歴代政権及び多くの政治家は日本の外交について語る際に、「日米同盟を軸とした」を最優先する。同盟もしくは対米関係が日本にとってどれほど重要かが分かる。日本は同時にいわゆる「大国化戦略」を持つ。分かりやすく言えば、経済大国を基礎としさらに政治・軍事大国になり、全面的な世界の大国になることだ。
しかし日米同盟が不平等であることは明らかだ。これは安倍前首相が述べたように「米国が日本を保護することしかできず、日本は法的な制限により米国を保護できない」だけではなく、日本の内政・外交・安全が米国からの深い影響を受けることを指す。安倍政権はかつて日米関係の「再向上」、つまり両国の「相互保護」を実現すると称していたが、これは実際に合わない大げさな表現だ。実際にはやはり米国が日本を保護するだけであり、日本が米国を保護することなど有り得ない。
この意義において、日本の「大国化戦略」と「日米同盟を軸」は矛盾している。主権を分かりやすく理解するならば、それは一国が管轄区域内でこの上なく最高の、排他的な政治権力を持つことだ。主権国家はその大小に関わらず独自に決定しなければならない。ところが現在の日本は米国の全面的な影響によりそれさえ困難であり、自国を真の「大国」と呼べようか。
安倍氏は2006年に初めて首相に就任した時から「戦後レジームからの脱却」を掲げていた。安倍氏を代表とする日本の一部の政治家は、欧米基準の「戦後の伝統」にひたすら追随することに反対し、日本の基準と枠組みの創設を掲げた。こうして日本が掲げた「インド太平洋戦略」の概念が欧米の主要国に受け入れられ、用いられた。日本は米国がTPPから離脱した後、CPTPPの構築を主導した。日本の右翼政治家は米国から押し付けられた憲法の放棄を極力主張し、「独自の憲法制定」を吹聴し、かつ平和憲法を基礎とする「戦後レジーム」からの脱却をめぐり動きを活発にしている。例えば2013年には日本版の「国家安全委員会」を創設し、2014年には集団的自衛権の行使を容認し、2015年には安保関連法案を可決した。
これら一連の動きを受け、日本は「軍事・政治大国」に邁進している。しかし奇異なことに、大国化の過程において日米の関係がより緊密になっている。日本は米国にノーと言えず、言うこともない。日米「一体化」が深まり、安全レベルでの協調がより顕著になり、自衛隊と在日米軍のいわゆる「相互運用性」が深まっている。昨年末の日本の新たな国家安保戦略が、米国の国家安保戦略を参考にしたことは明らかだ。対米独立を主張する右翼組織「一水会」の木村三浩代表はさらに、岸田政権は「世論操作と情報統制で進む対米一体化の戦争準備」と批判した。
(筆者・霍建崗 中国現代国際関係研究院北東アジア研究所研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年7月27日