かつての日本の指導者はバランスとの取れた外交を目指した。これは「日米安保条約」の日本への締め付けを見たからだが、この現状を変えるには次の二つの道しかない。
(一)米国以外の勢力との関係を強化することで、日米同盟への依存を弱める。日本は戦後、すべての外交議題をめぐり米国と足並みを揃えたわけではない。典型的な例を挙げると、日本は中東政策で米国と歩調を合わせイスラエルに肩入れせず、アラブ諸国との関係改善に取り組んだ。ただしこの政策の方針は今や曖昧になってきている。
(二)米国との同盟関係を変える。戦後の日本は米国と深く結びついていった。2009年発足の民主党政権は、日本にとって不平等な「日米地位協定」を改正し、米軍基地を沖縄から移設すると放言したが、米国と自民党からの圧力によりほとんど何もできなかった。米国の日本への「コントロール」の厳しさが分かる。そのため日本が日米同盟を変えようとしても短期的にはほぼ不可能だ。しかも現在の日米同盟は弱まるばかりかより緊密になっている。
日本が米国の同盟関係を口実とするコントロールと影響を緩めようとするならば、バランス外交が現実的な選択肢だ。しかし右傾化が一層深刻になっている日本政府はそうしないばかりか、むしろそれに背く道を歩み続けている。ゆえに同盟の苦境、もしくは「同盟の呪い」から抜け出せなくなっている。これは悲劇と言わざるを得ない。
(筆者・霍建崗 中国現代国際関係研究院北東アジア研究所研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年7月27日